福井県の杉本達治知事は27日、県経済団体連合会の八木誠一郎会長に対し、賃金引き上げの要請活動を行った。福井市西木田2丁目の福井商工会議所(貴賓室)で=写真。知事による「人への投資」を求める要請は異例で、春闘を前にした積極策。県内における実質賃金の厳しさを、裏付けてもいる。
杉本知事は、「まずは企業が成長し、生産性を上げて頂く支援を強化したい。人への投資へ、今回の主旨を各企業に伝えて頂きますように。人手不足の中、若者を残す、引き寄せるためにも、県も一緒にやらせていただきたい」と求めた。
応じて、八木会長は、「人があって、企業が成り立つ。できるだけ前向きに検討してもらえるよう、各団体に伝えていきたい。一人当たりの生産性を、いかに上げるかが一番の要諦。中長期的には、しっかりと人を育て、一層クリエイティブな仕事をして頂く。(時代の転換点にあり)得意を伸ばし、再配分していく方策を」と述べ、知事は「大変に心強い」と期待した。
【県の要請文】(要約)原材料や資源価格の高騰、海外経済の減速への懸念など、県内経済をとりまく不安定要素が高まる中においても、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と、経済活動の両立を図り、従業員の方々の雇用維持に努めておられる経営者の皆様のご尽力に深く敬意を表し、厚くお礼を申し上げます。県として、イノベーションや新事業への挑戦によって新たな価値を創り出し、成長をめざしていく企業や、賃上げやリスキングなど、積極的に「人への投資」を行い、生産性の向上を図る企業への支援強化を。アフターコロナ時代に向け、本県経済を一段高い成長経路に乗せるためには、「人への投資」と、働き手への適切な分配を実現することが重要。未来への投資である賃上げが原動力となって、経済の好循環を生み出すことが不可欠であると考えております。経営者の皆さまには、将来にわたり、本県経済の競争力の向上を図り、若者の本県定着を促進するため、物価上昇に負けない、積極的な賃金の引き上げを、お願いします。