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建通新聞社(中部)
2023/01/25

【三重】特定都市河川指定へ 雲出川中流部流域水害対策協議会

 雲出川中流部の特定都市河川指定に向けて、流域水害対策協議会準備会(仮称)を設立するため、1月23日に国土交通省三重河川国道事務所に流域関係者が集まった。三重県内初の取り組みであり、中部地方整備局管内でも法改正後(2021年5月10日公布)、初の取り組みとなる。
 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律が公布され、都市部に限らず浸水被害対策を行う必要のある地域も対象となった。これから検討を進めていく雲出川中流部は09〜18年の間に10年を除いてほぼ毎年浸水被害が発生している。被害が大きい時には約410fにおよぶ浸水が発生した。
 指定に向けて動くのは、津市と松阪市を流れる中村川と波瀬川、赤川の流域と下水道の排水区域。流域内には中村川、駒返川、大谷川、井置川、岩倉川、飯福田川、柚原川、波瀬川、赤川がある。これら全ての流域・河川での指定を目指す。
 特定河川に指定されるメリットは、流域水害対策計画を策定することで流域対策の補助率が上昇し、雨水貯留浸透施設や二線堤などのハード対策を加速させることができる。加えて、民間事業者の開発行為に対してさまざまな制度により制限できるようになる。
 ただ、一方的な制限で地元住民や開発事業者に負の影響とならないように2月に開催を予定する地元説明会では丁寧な説明が求められる。この点について菅良一三重河川国道事務所長は「規制する側面はあるが、流域に被害が出ないようにするためのもの」とし「前向きな意味で捉えてもらえるように丁寧に説明する」と話す。
 今後、指定に当たっての県・市長などへの法的意見聴取、住民説明会を経て、公示手続きを行い、22年度内に特定都市河川に指定する。その後、流域水害対策計画原案をまとめ、協議会を設立し、計画の策定へと進める。
 前葉泰幸津市長は「大きなポイントを迎えた。(浸水被害への)一つの解決策となるのでは」と話し、竹上真人松阪市長も「自分たちの土地、地域を守ることにつながる」と期待感を示した。
 参加したのは、津市、松阪市、農林水産省東海農政局、気象庁津地方気象台、林野庁三重森林管理署、三重県県土整備部・農林水産部、三重河川国道事務所。

提供:建通新聞社