建通新聞社(静岡)
2023/01/20
【静岡】県外からの移住 県内企業への就業支援
静岡県外からの移住に対する静岡県への相談件数が増えている。県は移住相談会やセミナーを開くなど、移住・定住を後押しする政策を進めており、2022年度上半期の移住者数は前年同期と比べ34・2%増の1178人だった。コロナ禍を境に県外からの移住者が増加しているものの、移住後の仕事は移住の最大の障壁だ。県は、担い手不足に悩む建設業をはじめ、県内企業と県外からの移住者とのマッチングにも取り組んでいる。
県は1月14日、首都圏から県内への移住希望者を対象とした「ふじのくにに住みかえるセミナー」を都内で開催=写真=。静岡県に移住し、県内で林業と建設業に従事する県外からの移住者が移住後の静岡での生活や仕事について語った。
現在は花菱建設(静岡市葵区)で働く中田智一さんは、スーパーの建築工事で訪れた下田市に魅力を感じ、15年前に家族とともに移住。当時、「どのような仕事があるのかも分からなかった」と移住後にハローワークを訪れて今の仕事を見つけたという。
10年前に大阪市から袋井市に移住した村山英人さんも「移住する時に優先したのは仕事。何のコネもなく、ハローワークで仕事を探した」と話す。現在は、移住前に測量業に従事していたキャリアを生かし、森町森林組合で認定森林施業プランナーとして働いている。
静岡県への移住者は増加傾向にあるものの、首都圏の企業に所属したまま県内でテレワークを続ける県外移住者も多いという。
県は、県外からの移住者の就業の悩みに応えるため、移住者向けの「移住・就業支援金求人サイト」を20年度に開設。20年度に394社だった登録企業数は、21年度に755社、22年12月末に985社と増加している。担い手が不足する建設関連の企業も経験者を採用できるこのサイトへの関心が高く、143社が登録しているという。
東京都内からの移住者にはさらに大きなメリットがある。東京23区に在住していたり、首都圏から東京23区に通勤している県外在住者が県内に移住し、このサイトに掲載されている企業に就職すると、「静岡県移住・就業支援金」として1世帯で最大100万円(単身者は60万円)を受け取ることができる。
18歳未満の子どもには1人当たり30万円の支援金が加算される。この加算金について政府は、現在の子ども1人当たり30万円を同100万円に増額し、地方移住を後押しする方針でいる。