高岡市は16日、新日本コンサルタント(富山市)、横浜国立大学と「橋梁維持管理の合理化に関する研究協力協定」を締結した。
市役所で協定の締結式が行われ、角田悠紀市長は、「修繕の予算を付けれない厳しい状況であり、未来に向けてどう判断すべきかは、高岡だけの課題ではない。全国の同じ悩みを持つ首長に使ってもらえる制度が望まれる。この舞台を最大限活用いただけるよう尽力し、成果を必ず持続可能な未来都市の構築に向けて生かしていく」とあいさつ。新日本コンサルタントの市森友明社長、横浜国立大の細田暁都市イノベーション研究院教授の3氏が協定書を交わした。新日本コンサルタントの阿曽克司、小坂由紀夫の両執行役員、横浜国立大の田村洋准教授が同席した。
市が管理する橋梁は約1150橋。多くが1970年代以前に建設され、老朽化し破損が進んでいる。5年ごとの定期点検に2014年度から取り組み、19年度から2巡目に入っている。費用は一巡目の5年間で約2億円かかっているという。市では、「定期点検の費用が固定化しており、本来必要な橋の修繕に十分な予算配分ができない状況が継続しており、点検費用の削減が喫緊の課題」と説明。全国の多くの地方自治体も抱える悩みだとしている。
研究では橋梁を構造形式と健全度の組み合わせにより、グループ分けし、グループごとに点検において見るべき損傷の種類、発見する方法、損傷の記録方法などを定め、安全性を確保した上で、合理化できる部分を研究し、ガイドラインとしてまとめる。研究期間は25年度まで。
市森社長は、「東京をはじめ全国で総数5181橋の点検を行った実績がある。地域課題を解決できる機会を得たことに感謝したい」とした上で、「画一化した点検でなく、合理化できる部分を科学的なエビデンスを積み上げて指針を示したい。一日も早く成果が現れるように協力する」と話した。
細田教授は、「長持ちするインフラの仕組みを作り込む仕事をしている。点検の無駄を省き、必要な橋の治療にお金が振り向けられるようにしたい」と述べ、「技術的にジャッジし、橋の健全性を守り抜く。感覚的でなく知見を根拠に簡略化だけでなく、強化する部分も出てくる」とガイドラインについて説明した。