神奈川県内広域水道企業団は、2023年度当初予算案の概要を発表した。予算規模(収益的支出、資本的支出)は前年度当初比4・6%増となる660億7004万円とし、一般建設改良費に同10・4%増の89億2700万円、維持管理費などに同20・2%増の228億4000万円を計上。企業団を構成する5事業者(神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市、企業団)での協議を踏まえた共通の施設整備計画の策定、既設送水管路線の代替ルート整備に向けた詳細設計、西長沢浄水場の更新検討、本庁舎などの非常用発電設備更新と燃料タンク増設の検討などを進める。
23年度は実施計画(21〜25年度)の中間年度に当たり、かながわ広域水道ビジョン(21年度からおおむね30年間)に掲げる最適な水道システムの実現などに向け、同ビジョンに示す三つの取り組みに沿った各事業を進める方針。
「最適な水道システムの実現に向けた施設整備と運用・管理の取り組み」には89億6659万円(前年度当初比6・4%増)を計上。5事業者で将来、浄水場を統廃合した場合に必要となる施設整備などの協議を引き続き進め、浄水場の増強や送水管の整備などを含めた共通の施設整備計画を策定する。既設管路の更新には3億5437万円を盛り、代替ルートについて検討している送水管路線の相模原―当麻間、上鶴間―下鶴間間の詳細設計などを進める。西長沢浄水場の更新に向けた検討には9144万円を計上し、新たな浄水処理方式などを検討する。
「自然災害や多様なリスクへの対応強化の取り組み」には23億7806万円(同14・1%増)を計上。地震対策には15億9253万円で西長沢調整池や伊勢原調整池などの耐震補強を継続し、停電対策には7億0273万円を充て相模原ポンプ場導水ポンプ設備などの更新や新たに本庁舎などの非常用発電設備更新と燃料タンク増設の検討を進める。
「経営基盤の強化の取り組み」には3億2419万円(同3・1%増)を盛り込み、官民連携の取り組みとして1億9602万円で伊勢原浄水場の運転維持管理業務の委託とスマート化の検討などを進める。
この他の主な事業と予算額は次の通り。
【最適な水道システムの実現に向けた施設整備と運用・管理の取り組み】
▽三保ダム・宮ケ瀬ダム、飯泉取水堰・相模大堰の堆砂対策―9億1573万円
▽水処理施設などの修繕(西長沢浄水場排水処理脱水機修繕、相模原浄水場第2ブロック急速ろ過池表面洗浄装置修繕他)―23億円
▽水処理施設などの更新・改良(飯泉ポンプ場速度制御装置更新、社家ポンプ場綾瀬系導水ポンプ速度制御装置更新、施設管理システム改良他)―49億7982万円
▽施設の維持管理性の向上(小雀ポンプ場などへの監視カメラ設置、飯泉ポンプ場泥水調整池築造他)―3億2523万円
【自然災害や多様なリスクへの対応強化の取り組み】
▽浸水対策(飯泉ポンプ場および社家ポンプ場防水壁など詳細設計)―7557万円
【経営基盤の強化の取り組み】
▽DX推進に向けた取り組み(事務系ネットワークPC更新および無線通信環境整備、電子決済・文書管理システム導入他)―1億1144万円
提供:建通新聞社