建通新聞社(静岡)
2023/01/11
【静岡】静岡県 電子契約10月に本格導入
静岡県は、10月から県発注の工事・物品の契約に電子契約を本格導入する。22年度に行った実証実験の成果を踏まえ、9月までに現在の書面のみの契約を電子契約にも対応するために規則・規定を改正する他、電子契約に採用する民間のクラウド型電子契約システムの事業者も選定する。受注者側が電子契約を選択できる工事・物品の対象範囲も検討する。
2021年1月の地方自治法施行規則の改正を受け、全国の自治体で民間のクラウド型電子契約サービスを導入する動きが広がっている。規則改正によって、それまで自治体の電子契約に求められていた電子署名の認証レベルが緩和され、メールなどの簡易な認証での電子署名を認める事業者署名型(立会人型)の電子契約サービスが導入できるようになったためだ。
これを受け、静岡県も昨年9月にGMOグローバルサイン・ホールディングス(東京都)が提供する「電子印鑑GMOサイン」を活用した電子契約導入に向けた実証実験をスタートした。
県と契約する事業者に協力を求め、デモンストレーションとして電子契約を結んでもらい、契約までの期間、コスト(印紙代、紙の使用料)、クラウド型電子契約システムの操作性などを検証した。実証実験には、県の公共事業を受注している建設企業や建設コンサルタントも参加した。県は10月の本格導入に向け、関係規則の改正や電子契約の対象範囲を検討する。本格導入後、対象の契約では、契約の相手先となる企業が書面契約か、電子契約を選択できるようになる。
県が電子契約を導入すると、公共工事を受注する建設業にとっては、契約時の事務作業や移動時間などが大幅に省略できるだけでなく、契約時に印紙税を支払う必要がなくなり、コスト削減効果も得られる。静岡県建設業協会(石井源一会長)も、昨年10月に行った県交通基盤部との意見交換で、電子契約の本格導入を求めていた。