高知県内で雨水対策を目的に下水道施設を整備している高知市など11市町は、想定される最大規模の降雨に対する「雨水出水浸水想定区域」の指定に向けた取り組みを加速する。県では対象の市町が2025年度末までに浸水想定図の作成と県による区域指定ができるよう、説明会や勉強会を開くなど支援を進める。
雨水出水浸水想定区域の指定は、21年7月の流域治水関連法の施行により対象が拡大したことを受け必要となった。一時的な大量の降雨で、下水道やその他の排水施設から雨水を排水できないことによる浸水被害を対象としており、河川の堤防決壊や越水による氾濫、津波や高潮による浸水は含まない。
県内で該当するのは高知市、安芸市、南国市、須崎市、宿毛市、四万十市、香美市、いの町、中土佐町、越知町、四万十町の11市町で、区域図を策定した後、地域防災計画に情報の伝達方法、避難場所、避難経路を定めるとともに、浸水ハザードマップを作成する。これまで区域図を作成している自治体はなく、現在は高知市と香美市で浸水シミュレーションを実施している段階となっている。
全国でも3月時点で約1割の自治体しか作成しておらず、「フルモデル」や「簡易モデル」など、複数のシミュレーション手法のうち、どの手法を採用すべきかといった情報が少なく、国からの2分の1の補助があるとはいえ、業務委託など費用負担も大きいことが課題となっている。
国は、21年5月に閣議決定した「第5次社会資本整備計画」で、25年度末までに浸水想定区域図を作成した団体数の目標を約73%に設定しており、県内の市町もこれに合わせて区域図の作成と区域指定に取り組む方針となっている。
提供:建通新聞社