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建設経済新聞社
2022/12/19

【京都】存続方針の向日町競輪場の改修に基金 令和5年度に基本構想、民活の検討も 令和9・10年度に工事を想定

 京都府は16日、府議会総務・警察常任委員会に「向日町競輪事業の今後のあり方に関する基本的な考え方案」について報告した。
 向日町競輪事業外部有識者会議から「収支見通しの継続的な分析は必須ではあるが、必要な施設整備と京都府財政への貢献(一般会計への繰出)の両立は可能」「存続にあたっては、府財政への貢献だけではなく、競輪場の自転車競技などのスポーツ振興や広域避難場所の指定などの防災拠点としての活用、投票所など老朽化した施設の除却や投票・観戦施設の集約により生じる余剰スペースの有効活用などによる、地域との連携・地域への貢献が必要」との意見も付された上で、存続の方向で意見が集約されたと報告。
 基本的な考え方として、「現在の包括民間委託が終了する令和6年度まで継続するとされている競輪事業について、令和7年度以降も継続する」「持続可能となるよう引き続き経営改善に取り組むとともに、競輪事業の社会貢献・地域振興の取組の周知、競輪をはじめとする自転車競技の魅力発信を通じて、府民の理解促進を図る」とした。
 「来場者が大きく減少する中、府の施設である以上、多くの府民に利用されることが望ましく、来場者(利用者)を増やすことが必要。そのため、老朽化が著しい施設について、施設・機能を集約の上、競輪事業の継続に必要な施設整備を実施する。その上で、交通アクセスが至便であることなど立地の良さを活かし、集約化に伴い生じる余剰スペースの整備を実施する。こうした整備により、向日町競輪場を競輪開催の場としての機能だけでなく、レジャーや憩いの場、地域のスポーツ活動・防災の拠点などの多目的・複合的な機能を併せ持った、地域の交流・賑わいの拠点となる施設へと転換させる」とした。
 施設整備の方向性としては、バンクの大規模改修のほか、インターネット販売の増加やミッドナイト競輪(無観客で開催)の開催による来場者の減少を踏まえ、施設・機能を集約化(収容人数2万人→5000人、投票所6ヵ所→2ヵ所、観覧席2ヵ所→1ヵ所)。集約化に伴う余剰スペースが発生(敷地面積の4割程度)することから、余剰スペース等の有効活用(多目的・複合的な活用)を検討する。
 基本的な考えを踏まえ、令和4年度は計画的な施設整備を目的とする基金を設置し積立による資金の確保を図り、令和5年度は競輪事業の継続に必要な施設整備や余剰スペースの整備を実施するための基本構想を策定する。
 基本構想の策定にあたっては、収支の継続的な分析を行うとともに、関係者から幅広く意見を聴取する。併せて、民間事業者のノウハウ・資金の活用も検討する。
 令和9年度下半期及び10年度上半期に施設改修等により休場し、令和8年度及び令和11年度に一部レースをシフトして開催することを想定する。
 単年度収支見通しも示し、令和5〜7年度は各年度9億円、8年度は11億円と見込み、改修等で休場を想定する9・10年度は各5億円、11年度は10億円を見込む。
 施設整備に活用可能な財源として、令和3年度から4年度への繰越金18億4000万円(令和3年度末時点)があるが、府議会総務・警察常任委の質疑で府は「一般会計への繰出とのバランスもあるため、それを見ながらとなるが、できる限り基金を積み上げ、その中で施設整備はまかなえるようにしたい」と述べた。
 なお令和3年度包括外部監査では、向日町競輪場のリニューアル費用は解体費+バンク全面改修+メイン施設の建替えの合計30〜36億円と、追加実施工事10億円の合計約45億円と見込む。また外部有識者会議では、事業を継続した場合の施設整備の事業費として概算で30億円程度が必要と報告した。