松山市や西条市など6市町にまたがる基幹的農業水利施設の老朽化対策や耐震化を計画する「道前道後用水地区」の土地改良事業が動き出す。今後、市町協議を経た上で年度末までに愛媛県を通じて国へ国営かんがい排水事業として施行申請を行う見通しだ。2023年度の新規事業採択を目指している。
同地区の基幹的農業水利施設は、国営道前道後平野土地改良事業(1957〜67年)と国営道前道後平野土地改良事業(89〜2013年)により整備した施設。施設の経年劣化で維持管理に多大な費用を要していることに加え、耐震性が低いことから改修と耐震化対策を実施する。
農林水産省四国土地改良調査管理事務所が調査などを担当し、2020年度に全体実施設計に着手するなど計画づくりを進めている。
計画概要によると、貯水池、頭首工、用水路を主対象に改修や耐震化対策を施す。13年の事業実施期間で230億円を投じる計画。また関連事業で区画整理などを行い、受益地の生産性向上と農業経営の安定化を目指す。対象市町は松山市、西条市、伊予市、東温市、松前町、砥部町で、受益面積は9178f。
対象となる農業水利施設のうち、貯水池は面河ダム(久万高原町笠方)、志河ダム(西条市丹原町)、佐古ダム(東温市下林)が対象。面河ダムでは取水施設(ゲート設備など)改修と承水路・承水堰の耐震化対策、志河ダムでは池敷内法面の改修、佐古ダムでは堤体改修を行う。
頭首工は中山川取水堰(西条市丹原町鞍瀬甲)が対象。固定堰・ゲート設備などの改修と土砂吐堰柱の耐震化対策を計画。用水路は総延長約30`を対象に改修と耐震化対策を施す。
提供:建通新聞社