京都府の西脇隆俊知事は、山陰近畿自動車道の京丹後市峰山〜網野までの区間について、今年度中に事業化に向けた調査設計に着手する方針を明らかにした。
12月議会の一般質問(1日目・12月12日)に答えたもの。西脇知事は答弁で「山陰近畿自動車道については、早期全線開通を実現する整備費用について検討を重ねてきた。全線を開通させるためには京都府域だけでも更に約30qを整備する必要があり、これまでと同様に税金のみを用いて進めた場合には、全線開通の目途が立たないほど長期間を要することになる。加えて、供用している区間の維持管理には京都府の単独財源を充てている中で、今後整備が進むことに伴い、維持管理費が増加すれば、先線の整備に充てる財源が圧迫されることになる。税金だけで道路を適切に維持管理・更新しながら、新規建設や機能強化をまかなうことが困難になってきているのは全国共通の課題。道路の維持管理等に要する費用については、基本的に最大の受益者である利用者にも負担を求める旨、国の審議会においても昨年8月に中間答申が示されている」と述べ、「10月16日、地元の丹後・地域高規格道路推進協議会が管理費等の利用者負担を排除せず早期全線開通を求めると決議をされた。この決議は、早期全線開通のためには有料道路事業を選択肢に入れてでも整備を加速せよとの強い覚悟を示したものであり、その決意を重く受け止めた」とし、「京都府としては早期全線開通への道筋を示すべきと考え、まずは宮津天橋立インターチェンジから(仮称)大宮峰山インターチェンジに至る区間において、維持管理費等の一部を利用者に負担いただくことを決断した」「料金の考え方については、高速道路を早期に整備しサービスを提供し続けるため、費用の一部を利用者に負担いただく手法を活用するのが全国的にも一般的」「今回、有料道路事業を活用しようとする区間は、高速道路である一方、これまで無料で地域内交通を担ってきた側面もある。料金の検討にあたっては、このことも考慮する必要がある。これらを踏まえ、令和7年度以降、普通車については、大宮峰山インターチェンジへ延伸するまでの間は税込150円、延伸後は税込300円の区間均一料金とした事業計画案とした」「早期全線開通に向けた先線整備については、まずは現在国が直轄権限代行事業として整備中の大宮峰山道路について、国に対し一日も早い完成を強く求めていきたい。次に峰山から網野までの区間は都市計画決定済みであるが、事業化されていないところであり、今年度中に事業化に向けた調査設計に着手していきたい」と方針を述べた。
網野から兵庫県境までの区間
ルートの確定急ぐ考え 網野から兵庫県境までの区間については「具体的なルートが決定していないため、都市計画決定に向けて現在、概略設計や自然環境調査に着手している。地元の意見を聞きながら、その取組を更に加速し、ルートの確定を急ぎたい」と考えを示した。
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山陰近畿自動車道は、日本海国土軸を形成する道路として、鳥取市を起点とし、宮津市を終点とする延長約120qの地域高規格道路。京都府域は、宮津市喜多(宮津天橋立IC)〜宮津市須津(与謝天橋立IC)の宮津与謝道路6・4q、宮津市須津(与謝天橋立IC)〜京丹後市大宮町森本(京丹後大宮IC)の野田川大宮道路4・3qが開通。供用区間は宮津天橋立IC〜京丹後大宮ICまでの10・7qにとどまる。
京丹後市大宮町森本(京丹後大宮IC)〜京丹後市峰山町新町((仮称)大宮峰山IC)の間を結ぶ大宮峰山道路5・0qについては、国土交通省の直轄権限代行事業により実施中。
南側から森本地区は第一高架橋(仮称。以下同じ)、府道高架橋、周枳地区は第二高架橋、第三高架橋、河辺地区は第四高架橋、新町地区は第五高架橋を予定。
その先線となる(仮称)大宮峰山IC〜(仮称)網野ICの約7・6qは平成27年3月に都市計画決定。
更にその先の網野ICから兵庫県境までの約19qを巡っては、丹後・地域高規格道路推進協議会が令和元年7月に西脇知事に対し、国道178号に概ね並行する形の日本海側を通る案を地元希望ルート帯として早期のルート決定を求めている。