羽島市は、旧本庁舎について、今後は解体する方針で、事業を進めることを12月9日の市議会定例会で明らかにした。
同市は、羽島市旧庁舎あり方検討委員会からの「旧本庁舎については、施設として使用・保存せず解体することが最良」との答申を受け、旧本庁舎のあり方の検討を開始。民間事業者から利活用案を募集するなどの取り組みを行ったが、「今後の市の行財政運営への影響」「建築物としての利用価値」「周辺への安全性」の3つの観点から検証した結果、いずれにおいても、旧本庁舎の保存・利活用に向けては困難との結論に至った。
1959年に建てられた旧本庁舎の耐震性は、耐震診断で最小Is値0・245、望楼部分0・23。建物の全体で耐震性が低く、外壁の剥離や崩落などコンクリートの劣化も進行している。南海トラフ地震レベルの地震発生後、旧本庁舎や望楼は、破壊・損壊により建築物としての安全性が著しく損なわれ、継続使用が不可能な状態となる可能性がある。また、周辺の住宅地や市道、中学校の広範囲に危険が及び、安全性が損なわれる可能性が高いとした。
耐震を行うには、最も安価な枠付鉄骨ブレース、鉄筋コンクリート壁を増設する工法で約17億。免震レトロフィット工法で約32億円の工事費がかかり、市財政から事業費を支出することは、極めて困難。
また、民間事業者からの提案については、「現段階で明確な民間事業主体などが存在しないこと」「確実な事業実施、資金調達が見通せないこと」から、民間事業者などを事業主体とする旧本庁舎の保存・利活用の実現は困難と結論付けた。
旧本庁舎跡地は、駐車場や避難広場として利活用を検討している。また、解体を進めるにあたり、デジタル技術を活用した映像化や資料収集を行い、旧本庁舎の記録・記憶を後世に伝えられるよう努めるとした。
提供:建通新聞社