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建通新聞社(静岡)
2022/12/09

【静岡】盛土条例の運用見直しへ

 静岡県は、盛土条例の施行後に顕在化した県内の残土処分場不足を解消するため、残土を一時保管するストックヤードの整備を検討している。見直しの声が強い盛土条例は、土壌調査を簡素化したり、出先事務所で許可申請を受け付けるようにするなど運用を改善する。条例は当面改正せず、公共工事だけでなく、民間工事で発生する残土も受け入れるストックヤードを確保し、県内の建設発生土を有効活用できる体制づくりを優先する。
 盛土条例で盛土とみなされ、土砂基準が適用される残土処分場では、搬入する土砂に基準適合が求められるようになり、その際に地歴調査や土壌調査が必要になった。このため、処分場の運営者が残土の処分料を値上げしたり、残土の受け入れを制限するケースが生じている。
 ただ、条例施行後に県と建設業界が行った意見交換では、残土処分場の処分量は条例施行前から不足していたという声も出ている。こうした意見も踏まえ、県は県内の建設発生土を適正に処理し、有効活用するための基本方針を年度末までに策定する。
 建設現場で発生した残土を受け入れるストックヤードの整備も検討し、この基本方針に盛り込む。受け入れ先が決まるまでの一時保管所として活用するストックヤードは、東部・中部・西部地区の地域特性や発生土量なども踏まえて適地を定める。県・市町が発注する公共工事だけでなく、民間工事で発生する残土も保管できるよう、事業手法を検討する。
 一方、盛土条例は、2023年5月に施行される盛土規制法との整合をとるために改正する必要がある。盛土規制法は都道府県が規制区域を指定し、区域内の盛土に都道府県知事の許可を求めるものだが、規制の対象や規制の内容が盛土条例と異なるためだ。
 ただ、盛土規制法には施行後2年間の経過措置があり、経過措置の期間中は、都道府県が現行の宅地造成等規制法に基づく規制区域の運用を継続できる。県はこの経過措置の期間中に条例を改正する考えで、改正までの間は許可取得後に必要な土壌分析調査のサンプル数を減らしたり、現在は本庁のみで受け付けている許可申請を出先事務所でも受け付けるようにするなど、まず申請者の負担を軽減する