建通新聞社(静岡)
2022/12/07
【静岡】県内の死亡災害増加 現場の安全対策徹底を
静岡県内の建設現場で死亡災害が増加している。2022年の県内の建設業の死亡災害は、3〜7月に5カ月連続でゼロ件だったものの、8〜10月の3カ月で8件発生。10月末時点の建設業の死亡災害は12件となり、この時点で3年連続で前年の発生件数を上回ることが確定した。事故の型別では「圧倒的に墜落・転落が多い」(厚生労働省静岡労働局)ため、同局では「静岡年末年始無災害運動」で、墜落・転落災害の防止や転倒災害の防止を改めて呼び掛ける。
県内の建設業の死亡災害は10月末までに12件発生し、この時点で2021年の死亡災害の件数を2件上回った。同じ時期の全産業の死亡災害は28件で、建設業の死亡災害は全産業で最も多くなっている。
22年は、8月以降に県内で死亡災害が多発。静岡労働局は「労災死亡事故多発警戒」を発令し、死亡事故の防止を呼び掛けている。ただ、8月下旬以降の死亡災害14件のうち、8件が建設現場で発生したもの。建設業では、昨年も8〜10月に8件の死亡災害が発生していたため、静岡労働局も警戒を強めていたものの、今年もこの3カ月で同数の8件の死亡災害が発生してしまった。
今年は9月23・24日の台風15号で被害を受けたインフラの復旧の現場で、土砂の撤去作業の転落事故(9月27日)、被災した農道の補修作業中の転落事故(10月17日)により、作業員2人が死亡した。災害復旧工事は十分な施工計画を立てることができず、通常の工事と比べ、労働災害が発生するリスクが高いという。10月末時点の死傷災害も358件と、前年の同時期を14・4%増加している。
今年の死亡災害の発生原因を見ても、型別で最も多いのは墜落・転落事故だ。静岡労働局では、12月1日〜1月15日の「静岡年末年始無災害運動」の中で、墜落・転落災害の防止を働き掛ける。
墜落・転落災害は、全国的に見ても建設業の死亡災害の4割以上を占めており、「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」の順守、はしごなどからの墜落・転落防止対策、フルハーネスの適切な使用といった、基本的な対策の徹底を求める。