公共工事における諸課題の改善を目指し、(一社)千葉県建設業協会と関東地方整備局と県、千葉市の意見交換会が11月30日に千葉市の三井ガーデンホテル千葉3階平安で行われた。協会の橋順一会長(轄kエ工務店)は、あいさつで「社会情勢が混沌としている中でも、われわれに与えられた社会的な使命・責任を果たしていくためには、予算を十分に確保していただき、それを受けて良質な社会資本をつくっていくということは変わらない」と力を込めた。協会は「『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』の着実な実施と、対策終了後の中長期計画」や「県内道路事情の地域間格差の解消と防災対策」などについて提案・要望した。
整備局の廣瀬昌由局長は、国土交通行政と事業への協力・尽力に謝意を表したほか、地域の担い手としての引き続きの活躍を要請した。さらに、2024年度からの時間外労働の上限規制や物価高騰などに触れ、「建設業を巡る状況は厳しいものがあると思うが、新しい仕組み・技術を導入して生産性を向上し、働きやすい環境整備や働き方改革を進めていきたい」と話すとともに、意見交換で寄せられた課題に対して挑戦していくと述べた。
県県土整備部の渡邉浩太郎・災害・建設業担当部長は「社会資本の整備、あるいは災害への対応において、地域に根ざした建設業の存在は不可欠。今後とも、県土の発展のため、また県民の安全確保のためにも、関係団体の皆さまの意見を取り入れていきたい」との考えを示し、意見交換会が有意義なものとなるよう祈念した。
あいさつを経て、橋会長が廣瀬局長に要望書を手交。さらに、整備局と協会がそれぞれの取り組みや活動状況などを報告した後、整備局企画部技術管理課の後閑浩幸課長が前年度に寄せられた意見・要望への対応状況を説いた。
22年度に開始した新たな取り組みとして、WTO政府調達協定対象の一般土木工事において現場閉所を土日に定める「完全週休2日制(土日)モデル工事」の試行を実施していることや、ICT活用工事の適用工種に構造物工(橋梁上部・基礎工)と小規模現場(床堀工・小規模土工など)を追加したと説明。
そのほか、CCUS活用推奨モデル工事と受注者希望方式のCCUS活用工事におけるカードリーダー設置費用・現場利用料の現場管理費への計上、インフラDXの取り組みに関する広報計画策定、公共工事設計労務単価の引き上げ、低入札価格調査基準の計算式の改定、建設現場の遠隔臨場に関する試行の対象拡大、総合評価落札方式の「自治体実績評価型」の「自治体実績チャレンジ型」への改称と地域貢献度の評価見直し、災害協定に基づく情報共有に関する手順等の運用策定などを紹介した。
協会からの提案・要望に対し、整備局は、国土交通省の23年度予算において公共事業関係費に対前年度比1・19倍の6兆2443億円を要求しているほか、「5か年加速化対策」については、11月8日に閣議決定された補正予算で、国土交通省分として対前年度比1・05倍の1兆1169億円が計上されていると説明。今後も、中長期的な見通しの下、必要かつ十分な公共事業予算の安定的・持続的な確保を図り、公共事業を効率的かつ円滑に実施するよう努めていくとの方針を示した。
また県は、21年6月に広域的な道路交通の今後の方向性を定める「広域道路交通計画」を策定。広域的な道路ネットワークを構成する高規格道路として、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)以東において「茂原・一宮・大原道路」「鴨川・大原道路」「館山鴨川道路」などを位置付け、整備によりミッシングリンクの解消を進めるほか、圏央道の整備効果を広く波及させる銚子連絡道路、長生グリーンライン、国道297号、国道410号などについても重点的に整備を推進するとし、引き続き、広域的な幹線道路ネットワークの充実・強化に取り組んでいくと応じた。