三重県知事公舎の在り方を検討する有識者会議の第2回会合が11月29日に開かれ、現公舎を当面は保存し、民間マンションなどを借り上げ公舎として選択することも可能とする方向性をまとめた。年間400万円程度の管理費がかかる庭や敷地外周の樹木については、経費節減や安全確保のために早期に伐採するべきとした。
1978年に建設された施設の老朽化、公邸部分の使用頻度が低く、公舎としての役割が時代とともに変わっていることなどの課題に対応するため、10月の第1回会合に続き、知事公舎の在り方について意見を交わし、有識者会議としての方向性を示した。有識会議の委員は不動産鑑定士や大学教授など6人で構成。
他県でも公舎を保有しながら、借り上げに住んでいる例もあることから、知事が居住空間の選択を判断し、セキュリティー対策を強化した上でマンションなどに居住することも可能にするべきとした。現公舎については、当面は維持に必要な最低限のリフォームを行うとともに、早急に売却することは不要とする意見をまとめた。
一方で、会議では民間マンションに関するセキュリティー不足や耐震性能不足を指摘する声や、県民負担の軽減に向けて公舎・敷地の売却を求める意見もあった。
現公舎を活用する場合、県は樹木伐採と施設リフォームの費用を7400万円、今後20年間の樹木管理、警備・修繕費用を6900万円と試算。敷地を保有したまま知事公舎を改築する場合、樹木伐採と床面積200平方b程度の施設新築の費用を1億1000万円と示した。
現公舎の規模は鉄筋コンクリート造平屋327平方b。内訳は公邸部分が184平方b、私邸部分が143平方b。所在地は津市観音寺町東浦446ノ20。敷地面積は約1万9000平方bで、知事公舎の他、観音寺公舎、ロータリー、車庫などがある。用途地域は第1種低層住居専用地域。
知事公舎の全国状況を見ると、47都道府県のうち29県が保有し、18県が保有していない。保有する29県のうち、知事が居住していないのは9県。知事が公舎に居住していない27県のうち、借り上げ公舎に居住しているのが8県で、そのうち賃貸マンション・分譲マンションの居住が6県(2県は非公表)となっている。
提供:建通新聞社