建通新聞社(神奈川)
2022/11/29
【神奈川】川崎市 扇島土地利用の基本的な考え方
川崎市は、JFEスチール東日本製鉄所の高炉などの休止に伴う扇島地区での大規模な土地利用転換について、基本的な考え方をまとめた。扇島南地区のうち、原料ヤードや大水深バースに使用されているエリアを「先導エリア」として先行整備し、水素やアンモニアなどのカーボンニュートラルエネルギーを受け入れるタンクや港湾施設、先進的な技術を活用した物流機能などを導入する。先導エリアは2030年までの利用開始を目指す。
土地利用転換の対象範囲は、扇島南地区(川崎側)222fと扇島北地区、池上町、扇町、水江町。扇島南地区と扇島北地区を「扇島地区」、それ以外の地区を「周辺地区」と位置付ける。
扇島地区のうち、扇島南地区にある原料ヤードは他のエリアに比べて構造物を撤去しやすく、隣接する大水深バースはその後の土地利用に当たって有効に活用できることから、これらが位置する東側の地区を先導エリアとして整備する。
先導エリアには、大水深バースがある南側に「カーボンニュートラルエネルギーゾーン」、高速道路の出入り口や幹線道路に近い北側に「港湾物流・高度物流ゾーン」を配置する。
〜先導エリア以外は段階的に整備〜
扇島南地区の先導エリア以外の土地は高炉や工場などの構造物が多く立地しているため、段階的に整備する。扇島北地区についても、南地区の開発に合わせて事業を進める。
導入する機能は、国の課題や産業の動向などを踏まえて検討する。水素などのエネルギーを利用した発電所、新たなモビリティーなどの次世代産業の研究・実証実験や製造施設、空のモビリティーの発着場、水素の活用や先端テクノロジーなどを体験できる大規模展示場や短期滞在型住宅、首都圏の防災を支える復旧・復興活動のためのベースキャンプなど幅広い可能性を想定する。
この他、池上町、扇町、水江町の導入機能についても候補を示している。池上町は交通結節機能やイノベーションを創出する産業連携機能、扇町は最新技術などを活用した高度物流機能やカーボンニュートラル関連産業、水江町はプラスチックなどのリサイクル拠点やカーボンリサイクル製品の製造拠点を想定し、各地区の立地状況や特性などを生かした機能の導入について検討する。
〜交通アクセス整備も一部土地利用開始に向け協議〜
交通アクセスの整備は、30年までの一部土地利用開始に向けた短中期的取り組みと、将来的な方向性を検討していく長期的取り組みの二つに分けて進める。
短中期的取り組みとしては、首都高速湾岸線の扇島出入口や、国道375号、首都高速道路と接続する扇島内の道路などの整備に向け、関係機関と協議・調整する。扇島出入口と、扇島内のアクセス道路は30年までの供用開始を目指す。
上下水道や工業用水道など生活インフラについても、導入する機能やゾーニングに合わせて検討を進める。
今後は、23年9月の高炉などの休止までに土地利用方針の策定を予定している。 提供:建通新聞社