建通新聞社(静岡)
2022/11/28
【静岡】無電柱化 市町計画路線も占用禁止
静岡県は、災害発生時の避難路となる緊急輸送路を対象として、新設電柱の占用禁止措置を拡大する。県内の市町と連携し、市町の地域防災計画上の緊急輸送路に占用禁止措置の対象を広げ、防災拠点の市役所だけでなく、医療機関などへのアクセス道路で道路閉塞(へいそく)が起きることを防止する。県管理道路206`、市町管理道路532`を対象に占用措置の対象区間を追加し、2023年4月にも運用を開始する見通しだ。
地震発生時や台風で電柱が倒壊して道路がふさがれると、人命救助や避難の妨げになる。東日本大震災では2万8000本の電柱が倒壊し、停電の原因にもなった。景観形成、安全な交通の確保と並び、防災が無電柱化の目的になっているのはこのためだ。
道路法には、道路管理者が区域を指定して道路の占用を禁止したり、制限できる占用制度がある。2013年6月の道路法改正で、この占用制度を災害時の被害の拡大防止に活用できるようになっており、占用制度を使って道路の新設を禁止する。
すでに県内では、県の地域防災計画に位置付けられている高速道路373`、直轄国道349`、県管理道路1118`、市町管理道路531`の緊急輸送路を対象として、17年から電柱の新設を禁止。災害時の防災拠点となる市役所、港湾、道の駅へのアクセス道路の被害を軽減し、避難・救援活動を妨げないようにしている。
この道路の占用禁止措置の対象に市町の地域防災計画に位置付けられている県管理道路206`、市町管理道路532`を追加。市役所などの防災拠点から、保健センター、交流センター、医療機関などへのアクセス道路でも電柱の増加を抑制する。
占用禁止によって、道路区域内の電柱の新設を禁止するものの、民地内の電柱は規制の対象外とする。既設電柱も当面は占用を許可する。23年4月にも運用を開始する。
県が今年3月にまとめた無電柱化推進計画では、25年度までの4年間で新たに72`の無電柱化事業に着手するとしている。管路の浅層埋設、小型ボックス活用埋設、直接埋設なども活用し、低コスト化や工期短縮にも取り組む。