建通新聞社(神奈川)
2022/11/25
【神奈川】県 11月補正案に過去最大ゼロ県151億
神奈川県は、4〜6月の工事稼働件数を確保する「施工時期の平準化」の取り組みを一層強化する方針だ。11月22日に公表した11月補正予算案で、本年度の支出が「ゼロ」の県費債務負担行為(ゼロ県債)を設定。その額は前年度比17%増となる151億2834万円とし、過去最大だった2021年度をさらに上回ることになる。主な事業として老朽配水管リフレッシュ事業などに約64億円、高校施設整備工事費に約23億円の債務負担行為を設定しており、工事の総箇所数は484。23年度当初予算に計上する予定の建設事業などの一部を前倒して発注する。ゼロ県債の設定は1997年度以来、26年連続となる。
施工時期の平準化は、端境期の仕事量の確保や年間事業量の平準化、資材購入や雇用の早期実施、円滑な融資の確保など中小事業者への効果がある。公共事業では工期を年度末に設定することが多く、年度当初に発注量が減少することが多い。このため各地域の建設業団体などが発注者に対し、4〜6月の工事を増やすための発注時期や施工の平準化を要望している。
地域にとっても災害対策や道路補修、老朽化した水道管の更新など県民生活に直結する事業効果を早期に発現させたり、景気対策の一環で企業活動自体を活性化させたりする効果がある。
県では、2023年度までに平準化率(年度の工事平均稼働件数のうち4〜6月期の件数の割合)を「0・8」にすることが目標。工事では21年度に0・71となり、22年度に0・75、23年度に0・81になると見込んでいる。これら取り組みを確実なものとするため、21年度に設置した「施工時期などの平準化推進会議」で全庁的に取り組みを推進する。
〜11月補正予算案に119億円を計上〜
11月補正予算案には物価高騰対策や新型コロナウイルス感染症対策など総額119億3500万円(一般会計107億1600万円、企業会計12億1900万円)を盛り込んだ。予算が承認されれば本年度の累計額は4兆6969億8400万円となる。ゼロ県債以外では寒川町学校給食センター整備事業の継続費を変更。物価高騰などの影響を受け、工期を23年度に延伸、継続費を22億5800万円から23億3485万円に増額する。
業種別のゼロ県債の設定内容は次の通り(@箇所数A債務負担行為設定限度額B事業内容、事業箇所など)。
【建設業(工事関係)】
▽林道改良事業費他―@7A1億4271万円B舗装工、相模原市緑区佐野川他
▽道路補修費他―@81A20億8580万円B舗装工、国道129号厚木市下依知1丁目他
▽河川修繕費他―@41A10億9750万円B転落防止柵設置工、小出川(茅ケ崎市今宿)他
▽高等学校施設整備工事費―@5A22億9900万円B耐震補強・老朽化対策工事、監理業務、商工高校体育館他
▽交通安全施設整備費―@37A1億2000万円B道路標識製作設置工事、相模原警察署管内他
▽老朽配水管リフレッシュ事業費他―@75A64億5799万円B基幹管路更新工事6カ所、配水管改良工事54カ所他
【設計コンサルタント業】
▽道路補修費他―@23A3億2100万円B発注者支援業務、県道72号(松田国府津)小田原市上曽我他
▽河川改修事業費他―@40A5億0927万円B発注者支援業務、引地川(藤沢市下土棚)他
▽高等学校施設整備工事設計調査費他―@6A8490万円B耐震補強・老朽化対策工事設計業務、市ケ尾高校管理棟他
【塗装業】
▽交通安全施設整備費他―@41A3億7300万円B道路標示塗装業務、相模原警察署管内他
【電気設備業】
▽交通安全施設整備費他―@28A3億8957万円B交通信号機改良等工事、関内駅南口他15交差点他)
【測量業】
▽河川修繕費他―@47A4億4666万円B定期縦横断測量、目久尻川(藤沢市宮原)他
【その他】
▽水源林整備事業費他―@25A3億8290万円B森林整備、箱根町宮城野他
▽河川修繕費他―@28A4億1800万円B除草・伐木工、田越川(逗子市新宿1丁目)他 提供:建通新聞社