三重県港湾みらい共創本部は11月21日、2回目の会議を開き、津・松阪港、尾鷲港、鳥羽港をモデル港湾として脱炭素化や地域を活性化させるプロジェクトを進めることを決めた。
三つの港湾を抽出するに当たり主な検討項目に脱炭素化、地域産業活性化、観光活性化を挙げ、県が管理する港湾19港の中から選んだ。抽出した理由は、津・松阪港は取り扱い貨物量が県内2位、取り扱い種類が県内1位の重要港湾で、CNP(カーボンニュートラルポート)形成計画の策定対象となっているため。尾鷲港は背後地域が林業、水産業のポテンシャルがある重要港湾で、CNP形成計画の対象。ともに将来的に他港への横展開も期待されている。鳥羽港については、県管理港湾内でクルーズ船の入港実績が1位であることに加え、フェリー航路、離島航路が複数あり、観光と密接な関係にあることが決め手となった。
モデル港の港湾利用者と関係機関には現在の課題をヒアリングを終えており、会議で併せて発表された。津・松阪港は釣り客の同船と港湾荷役の作業区域が重なること、泊地・航路水深の確保、臨港道路・荷さばき地などの迅速な施設補修、脱炭素化に向けた企業単位の具体的な取り組みが始まっていないことなどの課題があることが分かった。尾鷲港は、魚市場周辺施設の利用状況の不均衡、持ち主不明のプレジャー船の増加、取り扱い品の変化、三田火力発電跡地の利活用に向けた協力、津・松阪港と同様に脱炭素化の取り組みがないこと。鳥羽港は、優良な集客施設の利活用の拡大、交通機関からの旅客船ターミナルや市営定期船への連絡導線の誘導機能、クルーズ船から旅客船ターミナル間移動の利便性向上などが挙げられた。
今後については、2022年度中に課題を基に方針の検討を行い、基本的な考え方を整理する。22〜23年度にかけて、基本方針を策定し、具体的な取り組み計画を検討する。この中で、可能なものは順次着手し、24年度中には取り組み計画を策定する。
提供:建通新聞社