建コン協会九州支部が県土木部と意見交換 「新たにDX推進もテーマに」 (一社)建設コンサルタンツ協会九州支部の田中清支部長ら支部関係者は15日、県庁で県土木部関係者と定例の意見交換会を実施。建コン協が継続して要望してきた表彰制度≠ノついて、県側が2024年度の導入に向け、制度設計の検討を進めていると回答した。
意見交換に先立つあいさつの中で田中支部長は、総合評価方式の導入や業務成績評定を考慮した指名基準など、技術力を重視した選定に取り組んでいる昨今の県の動きに感謝した。また、BIM/CIMなどDXの動きが盛んな状況に触れ、「公共事業に新たな動きを取り入れるには、国や大手企業だけでなく、公共事業に携わっている全発注者・全企業が対応できるようにならねばならない」とし、九州支部としてもみんなができるDX≠目標に「勉強を始めた」と説明。その上で「このような取り組みを進めていく中で 建設コンサルタントが魅力ある分野となり、担い手の確保・育成につなげていきたい」と決意を示した。
一方、土木部の川添正寿技監は、国の本年度第2次補正予算案が11月8日に閣議決定したことに触れ、「昨年と同様の(内示があることを想定して)準備をして体制を整えている。(事業の上流である)測試関係が上手く回らないと、その後の事業の展開につながらない」と述べ、関係者に理解と協力を求めた。DXなどの新たな取り組みについては、「県としてやっと動き出したところ。全国で活躍されている皆さんから、最新の情報を聞けるのは良い機会」とし、有意義な意見交換になることを期待した。
今回の意見交換は、▽長崎県への個別提案▽担い手の確保・育成のための環境整備▽技術力による選定▽品質の確保・向上―といった従来のテーマに、DX推進の環境整備を加えた五つのテーマで行った。
表彰制度の導入は、県への個別提案として求めていたもの。県側は、鹿児島や熊本など、先行する他県の状況を確認しながら、県内本店企業を想定した制度設計を検討していると回答。建コン協は、若手・女性技術者に対する表彰も要望したが、県は「今後の検討課題」と述べるに止めた。
個別提案ではほかに、柔軟な設計変更として、点群データや3次元データなど最新の機器・技術を活用した方が業務が効率化する場合は、当初設計工種からの柔軟な変更を要望。県側は「3次元データの活用は、調査測量から設計、施工、維持管理まで一気通貫で利用することで効果を発揮する」との認識を示し、まずは、南北幹線道路など特定の事業でモデル的に導入していく意向を示した。
「県による総合評価発注が順調に推移」 このほか、担い手の確保・育成のテーマのうち、履行期限(納期)の平準化に対しては、県側が24年度に第4四半期納期率40%≠目指して努力する姿勢を示した。
技術力による選定のテーマでは、県による総合評価の発注が順調に推移していることが報告された。県内市町村の最低制限価格を、公契連モデルに沿って引き上げる要望に対しては、県がブロック協議会などを通じて市町村に助言していくとした。
品質の確保・向上のテーマでは、建コン協側が『設計条件明示チェックシート』の活用を要望。まずは建コン協会員の受注業務で、同シートに書き込んで提示する活動を進め、県側に導入検討を促すことにした。
DX推進のテーマでは、県側がこのほど、産学官で組織する『ICT/DX導入促進検討部会』を立ち上げたことを報告。今後具体的な検討を進めていくとした。