建通新聞社(静岡)
2022/11/18
【静岡】管路台帳を3次元モデル化
静岡県企業局は、水道管の管路台帳を3次元モデルで構築する。水道管は紙ベースの台帳で管理されているが、道路を試掘しないと正確な水道管の位置を把握できないため、誤って水道管を破損し、道路の冠水や水道の断水を招く恐れがある。水道管の更新時などに位置情報を付与した3次元点群データを収集し、まず県管理の水道管で3次元モデル台帳を構築。事故予防や試掘の効率化などにつなげる。
紙ベースの台帳で水道管のおおよその位置は把握できるものの、実際には大幅に異なる位置に埋設されているケースも多い。施工前の試掘で正確な位置を把握するとは言え、掘削時に重機で水道管を破損すると、最悪の場合には周辺の断水など、社会的影響の大きい事態を引き起こすこともある。
3次元点群データで水道管の位置情報を把握できれば、こうしたケースを回避できるだけでなく、試掘の箇所数を省略できるなど、水道管の更新工事の生産性を高めることも期待できる。
県企業局では、管理する水道と工業用水道の管路約720`を対象として、布設工事などの埋め戻し前の露出管の3次元点群データを取得し、管路台帳を3次元モデル化する。2022年度は更新工事を行う箇所で試験的に3次元点群データを取得する。
現在、スマートフォンのスキャナー機能アプリを使用しても3次元点群データを取得できるようになっており、こうした手法の実用性を検証した上で、23年度から本格的にデータ取得を開始する。
更新工事の際に取得した3次元点群データから、BIM/CIMデータを作成して属性情報を追加し、水道管の維持管理を効率化することも検討している。
さらに県は、水道管の3次元点群データを、国土交通省の「国土交通データプラットフォーム」や県の「次世代インフラプラットフォーム」と連携させることも検討している。道路の地下空間にある電力・通信・ガスなどその他の埋設管や、市町が管理する水道管でも3次元点群データが取得され、もこれらのプラットフォーム上で連携すれば、道路の占用工事をさらに効率化することもできるという。