彦根市・愛荘町・豊郷町・甲良町及び多賀町で組織する彦根愛知犬上広域行政組合(管理者=和田裕行・彦根市長)は15日、組合議会臨時会を開催。上程した今年度一般会計補正予算(第2号)案を、議会は慎重に審議し、全員の賛成により可決した。
補正予算は、2028年度末(令和10年度末)の完成を目標に現在業務を進めている「彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備事業」の処理方式について、現在は熱焼却方式で整備することとし進めているが、並行して費用が安価で環境負荷が小さいと言われている好気性発酵乾燥方式(トンネルコンポスト方式等)について、圏域での実現可能性調査・検証等を行なうためコンサルタント業務委託料552万2千円などを計上するとともに、議会費として、組合議会議員に同方式を既に導入、稼働している香川県三豊市の「バイオマス資源化センターみとよ」を先進地視察する経費等76万8千円を計上。
予算の可決を受け、トンネルコンポスト方式の実現可能性調査・検証業務は、潟Gックス都市研究所(本社/東京都豊島区)に委託する予定で、年度末を目途に成果物を得て、来年度の早い時期に判断をする考え。議員の視察も日程を詰める。
トンネルコンポスト方式は、欧州で開発されたごみ処理方式で、生ごみやプラスチック・紙などが混在する家庭系の可燃ごみを破砕し、バイオトンネルと呼ばれるコンクリートの密閉発酵槽へ投入することで、微生物が生ごみだけを発酵分解し、その発酵熱を利用してプラスチック・紙などを乾燥処理する好気性発酵乾燥方式の一種。
排ガスが発生しない、▽排水がでない、▽二酸化炭素の排出を抑制する、▽低コスト、▽事故対応に優れる―といった特徴を持ち、国内では香川県三豊市が唯一導入している。
「彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備事業」については、現在、彦根市西清崎町を建設候補地として、20年度から実施している環境影響評価業務を23年(令和5年)9月30日まで、21年度12月から実施している造成等実施設計業務を23年3月までを目途に現在実施中。環境影響評価業務や都市計画など許認可手続きを経て、23年度中に造成工事に着手する予定となっていた。
施設整備については、今年8月の組合議会定例会で、整備運営事業者選定委員会設置条例の議決を得ており、整備運営事業者選定委員会を立ち上げ、来年(令和5年)1月の第2回委員会で実施方針案、要求水準書案、落札者選定基準案を審査。3月に第3回、6月に第4回の委員会を開催し公告に係る書類を確認。公告後、11月の第5回委員会で公告以降の経過報告、審査手順の審議を行ない、2024年(令和6年)2月の第6回委員会でプラントメーカーからヒヤリングすべき事項を抽出、同年3月の第7回委員会でプレゼンテーション及びヒヤリング審査を実施して整備運営事業者を選定。24年度(令和6年度)に施設整備実施設計〜施設建設工事を28年度(令和10年度)末の完成を目途に行ない、試運転を経て29年度(令和11年度)中の新施設供用開始を目指すとしていた。
組合を構成する圏域の現在の可燃ごみ処理施設は、彦根市清掃センター(昭和52年稼働)と彦根市以外4町が利用するリバースセンター(平成9年稼働)の2施設があるが、いずれも老朽化が進んでおり、新ごみ処理の建設は喫緊の課題。
提供:滋賀産業新聞