日本建築士会連合会の令和4年度の伝統的技能者に、建築大工の畑宣雄さん(66)が輝いた。
第64回建築士会全国大会(10月14日秋田市で開催)にあたり、功績が表彰された。
これを受け、11月10日、福井県建築士会の横山義博会長から、近角真一連合会長名の表彰状を、畑氏に手渡しした。
伝達式は、福井市日之出5丁目の県建築会館、県建築組合連合会の事務局内で行われた。
畑氏は、受賞に「とっても嬉しい」と率直に喜びを表し、関係者に深く感謝した。
現在は、大安禅寺の修復工事に携わり、「新築当時の手あか(墨付等)を発見したり、想像も楽しい」などと、やり甲斐を披露。
現代的な新しい住宅にも「お客様の様々な注文に応え、いい家を建てたい」と家大工の誇りを示した。
若手に向けては「技術はもちろん、場の雰囲気を感じ取れる力を付けてほしい」とエールを送る。横山会長は、建築にかかわる総合力を表現し、「木と会話ができる人」と、技量の高さを称賛した。
氏は、この道一筋50年。古来受け継がれる大工道具の鉞(まさかり)や、チョンナ、槍カンナなどを使いこなし、手刻みの伝統技術に優れている。宮大工棟梁の直井光男氏にも学び、今では直井棟梁も信頼を置く存在だ。
氏は、直井棟梁と共に削ろう会の会員でもある。とくに薬師寺大改修において、多くを習得。福井市郷土資料館や、舎人門復元工事、福井城址御廊下橋復元工事などにも携わり、実績を上げた。
一方、伝統技術を広める活動にも積極的。県主催の小学生に向ける体験教室には、指導者として意欲的に参加する。若手職人に対しても、作業の現場で直接、カンナ技術を伝授するなど、建築大工の発展にむけ、長年にわたり貢献している。