京都市上下水道局は11日、新たな中期経営プランの骨子案をまとめ明らかにした。
新中期経営プランは、上下水道事業経営ビジョン(2018−2027)の後期(令和5(2023)年度から令和9(2027)年度までの5ヵ年)の実施計画となるもの。
新プランの骨子案では、基本方針として、@いのちやくらしを支える重要なライフラインである上下水道を将来に向けて守り続けるため、引き続き管路・施設の改築更新・耐震化をはじめとする各事業を着実に進めるA経営基盤を強化し、事業運営を持続可能なものとするため、より一層の経営の効率化等に取り組むとともに、、次期ビジョン以降の中長期を見据えた施設マネジメントの取組を推進する−を掲げた。
主な取組内容をみると、「管路・施設の改築更新・耐震化」は、▽災害時にも原水をより安定して取水するための新山科浄水場導水トンネル築造工事をはじめ、水道基幹施設の改築更新・耐震化を進める▽災害等が発生した場合に広範囲に影響を及ぼす口径の大きい配水管の更新割合を増加させるなど、リスクを踏まえた水道管路の更新を推進する▽下水道管路は、優先度を踏まえた調査及び改築更新・耐震化を進める。また水環境保全センターの主要な施設の改築更新・耐震化を推進する。
「防災・危機管理/浸水対策」は、▽防災危機管理に係る各種計画の点検・改善、仮設給水槽などの防災備品の効果的な配備や災害用マンホールトイレの継続的な整備を進める▽他都市及び民間事業者と連携し、合同防災訓練や情報交換等を定期的に実施する▽浸水に対する安全度を更に向上させるため、鳥羽第3導水きょの整備をはじめとした浸水対策を推進する。
「広域化・広域連携の推進」は、▽京都府域の水道・下水道に係る基本方針(令和4年度に京都府が改定予定)に基づき、広域化のあり方や広域連携について検討を進める▽共同研修や水道水の異物検査受託を継続実施するとともに、資器材の相互融通等について検討を行う。
「低炭素社会の実現や循環型まちづくりへの貢献」は、▽省エネ・創エネ型の汚泥焼却炉への改築更新を行う▽その他のプラント系施設においても、高効率機器の導入や運転管理の効率化、LED照明への切替等を促進し、温室効果ガス排出量の削減を図る▽引き続き、下水汚泥から生成する固形燃料や消化ガスの有効活用を図る。
「施設マネジメントの実践/財務体質の更なる強化」は、▽水道及び下水道管路の事業量・事業費の更なる平準化に向けた検討を進める▽保有資産の有効活用の検討及び売却・貸付の推進を図る。
主な指標とビジョン目標(令和9年度)は、▽浄水施設の耐震化率…100%▽配水池の耐震化率…73%▽老朽配水管の解消率…76%▽主要管路の耐震適合性管の割合…66%▽下水道管路改築・地震対策率…46%▽合流式下水道改善率…100%▽雨水整備率(10年確率降雨対応)…43%▽職員定数…−▽企業債残高…3800億円。
後期プラン期間の財政見通しについては、中長期的に管路・施設の老朽化が進むとともに、水需要の減少等が継続する見通しで、また高騰する資材価格や電気代等の今後の動向は不透明であり、更なる上昇も考えられることから、その場合、改築更新の財源となる積立金の確保が一層困難となることが想定されるとした。
厳しい経営見通しを踏まえ、令和4年度から局内に「施設マネジメント推進プロジェクトチーム」を設置し、事業量・事業費の更なる平準化に向けた検討を開始。令和5年度以降、これらの取組を継続して進め、後期プラン期間の中間時点を目途に、将来必要となる事業費の長期的な見通しを検証する。そのうえで、市民の重要なライフラインを未来に継承・発展させていくために、世代間の不公平等を考慮した積立金(資産維持費等)の必要額を再検証し、更なる経営の効率化や増収のための方策など、あらゆる観点で財政基盤強化の取組を検討していくとした。
なお骨子案は11月16日から1ヵ月の間、パブリックコメントを行う。