東日本建設業保証は7日までに、「建設業の財務統計指標」(2021年度決算分析)をまとめた。
中小建設企業における経営合理化に役立ててもらう目的で、毎年調査しているもの。本店所在地が東日本23都県の法人企業を対象とし、経営活動の実態を計数で把握。これに基づき、(1)収益性(2)活動性(3)流動性(4)健全性(5)生産性−の観点から業種別と売上高別、地区別・都県別の経営指標を求め、経営内容が同業他社と比較できる内容となっている。
このうち、富山県内の調査企業数は529社。調査決算期が21年4月期から22年3月期まで(営業期間が12カ月未満は除く)。
県内分の平均値を東日本管内23都県の平均と比較すると、自己資本比率で管内トップとなったほか、総資本経常利益率と売上高経常利益率、流動比率がそれぞれ2位になるなど、収益性と健全性で平均をいずれも上回り、県内の建設企業は総じて財務基盤が強固であることが分かった。一方で、自己資本回転率と1人当たり売上高はともに管内ワースト3位であり、活動性と生産性が低い結果が浮き彫りとなった。
区分ごとの概要(平均値)を見ると、『収益性』は、企業の収益力を総合的に表す最も重要な比率である総資本経常利益率が6・72%で、前回の6・57%からさらにアップし、東日本平均の5・60%を上回った。財務力を含めた総合的な収益力を表す売上高経常利益率は5・36%で、こちらも前回の4・95%と比べて大きく伸び、東日本平均の4・06%を大きく上回っている。総資本経常利益率の業種別では土木が最も高く、建築が最低。売上高別は5〜10億円の企業が最も高く、1億円未満が最も低い結果となった。
『活動性』は、総資本回転率が1・26回と、東日本平均の1・36回を下回り、自己資本回転率は3・64回で、東日本平均の4・32回を下回った。総資本回転率の業種別は土木が最多で、電気が最少。売上高別では、1億円未満の企業が最多となり、10〜30億円の企業が最少の状況。
また、『流動性』は、資金の流動性指標の一つである当座比率が407・49%と、前回の352・55%を大幅に上回り、東日本平均の386・58%も上回った。企業の支払能力や資金繰りの余裕度を判断する流動比率は376・10%で、前回315・68%から大きくアップし、東日本平均の324・87%を大幅に上回った。当座比率の業種別は電気が最も高く、建築が最低。売上高別では、5〜10億円の企業が最も高くなっている。
『健全性』を見ると、資本蓄積の度合いを表す自己資本比率は49・75%であり、前回の45・48%から増加し、東日本平均の40・30%を大きく上回った。業種別は電気が最も高く、建築が最低。売上高別では、10〜30億円の企業が最も高い傾向となった。自己資本に対する固定資産の割合を表す固定比率(理想は100%以下)は、前回の99・66%に対して今回が87・84%で、東日本平均の95・13%を下回った。
『生産性』は、1人当たり売上高が2445万円で、前回の2393万円からアップしたものの、東日本平均の2919万円を大きく下回った。管内では岩手、新潟に続いて、下から3番目の水準となった。
業種別は、建築が4147万円(東日本平均4572万円)でトップとなり、電気が1979万円(同2241万円)で最低。1人当たりの売上高は、売上高が増える順に多くなっている。付加価値率は土木が57・22%で最も高く、建築が27・22%で最低。売上高が増加するのに準じて比率が低い状況。