建通新聞社(静岡)
2022/11/07
【静岡】資材価格の高騰 会員9割が「採算悪化」
静岡県建設業協会(石井源一会長)は、会員企業向けに毎年行っている「建設業業況調査」の2022年度の調査結果をまとめた。資材価格については、ほぼ全ての企業が「上昇」と回答。資材価格が上昇しているとした企業の89・9%が「採算の悪化」を招いているとも答えた。経営上の課題に「若年労働者の確保・育成」を挙げる企業が81・4%、「技術者の不足」を挙げる企業75・0%に上り、人手不足に悩む会員企業の実態も改めて浮き彫りになった。
この調査は、県内の発注者との意見交換や要望書提出の基礎資料として活用するため、県建協が毎年7月に実施しているもので、22年度の調査には各地区協会の会員企業140社が回答した。
資材価格については、土木で前年度調査より16・3ポイント高い98・6%、建築で20・9ポイント高い95・9%の企業が「上昇」と答えた。いずれも2年連続で前年度の回答を上回っており、ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格上昇の影響が色濃く出た。
調査では、資材価格の上昇が各企業の採算の悪化を招いている実態も明らかになった。収益状況が「悪化」と答えた企業は52・5%で、前年度よりも15・7ポイント上昇。価格上昇が採算の悪化を招いていると答えた企業も89・9%に上った。
一方、2024年4月の時間外労働の罰則付き上限規制適用が迫る中、現場の4週8休が確保できていると回答した企業は24社で、全体の17・5%にとどまっている。36協定を締結している企業は77・1%、勤怠管理にタイムカードなどの客観的手法を採用している企業は42・1%となった。働き方改革に向けて、発注者に「提出書類の簡素化・削減」「適正な工期設定」「適正な経費の支払い」などを求める声も多かった。
県建協や県内の公共工事の発注機関が取り組んでいる毎月第2・第4土曜日の一斉休工については、4〜7月に全ての第2・第4土曜日を休工とした企業は47・0%、半数以上で休工とした企業は36・6%。休工できなかった理由としては、天候や発注者の理解不足を挙げる企業が多かった。
建設キャリアアップシステム(CCUS)については、事業者登録した企業は56・6%あったものの、登録したと答えた企業の44・4%が「現場での活用実績はない」とした。現場で活用しない理由として、「必要とされている現場がない」「ほとんどの協力会社がCCUSに登録していない」「発注者からの要求がない」といった声が上がっている。