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建通新聞社(中部)
2022/11/01

【愛知】名古屋市 揚輝荘 北園に民活導入を検討

名古屋市観光文化交流局は、揚輝荘の整備基本方針を2022年度内に取りまとめる考えだ。北園は池泉回遊式庭園の再現、南園は現在非公開の揚輝荘座敷を庭園を眺めながら休憩できる施設として整備する考え方を示している。北園整備では、民間活力導入による整備も視野に入れているようだ。基本方針策定後、23年度は基本計画の策定を進める見通し。
 揚輝荘は、松坂屋初代社長の15代伊藤次郎左衛門祐民の別荘。最盛期には30数棟におよぶ建物があった。戦時の空襲や老朽化、開発などで敷地・建物の大半は失われたものの、現在も主要な部分が残されている。5棟の建物(聴松閣、揚輝荘座敷、伴華楼、三賞亭、白雲橋)は市指定有形文化財。これまでに第1期整備として聴松閣の修復整備を13年に完了している。
 建物整備では、揚輝荘座敷、三賞亭、白雲橋の整備を進める考え方を示している。伴華楼は、耐震補強が容易でなく、復原・活用方法の検討に時間を要するため、当面は現状維持とする考え。必要に応じて、応急的・可逆的な補強は実施する。
 揚輝荘座敷は、復原・耐震補強を行い、庭園を眺めながら休憩ができる施設として整備する考え。庭園に面する座敷を復原、反対側となる南園入口・北園連絡通路側(アプローチ動線として整備想定)は、利活用に必要な機能を充てる。三賞亭、白雲橋は復原・耐震補強を行う。
 民活導入を検討しているのは、北園入口付近で、伴華楼の南側にある鉄筋コンクリート造蔵と土蔵がある蔵前エリア。RC造蔵・土蔵を改修してカフェなどの便益施設を設ける他、公園的整備として芝生広場、テラス・スロープ・公衆トイレを整備する。また、現北園入口のリニューアル(揚輝荘の顔となるデザインの門)、北園閉園後も便益施設にアクセスできる環境も構築する。
 庭園整備に関しては、北園は当初の作庭意図を損なわない池泉回遊式庭園の再現を目指す。身近な憩いの拠点として無料エリアとすることを想定する。南園は聴松閣と揚輝荘座敷を質の高い公開施設として整備・活用、上質な空間をゆっくりと楽しんでもらうため、有料範囲についても検討・考慮しながら整備を行う考え方を示している。


提供:建通新聞社