香川県建設業協会の森田紘一会長らが県庁に池田豊人知事を訪ね、公共事業予算の確保や資材価格の高騰への対策、若年技術者の入職促進など業界が直面している中長期・喫緊の課題への対応について要望し、意見を交わした。池田知事は協会側の要望に理解を示し、「公共事業は切れ目なく展開することが必要で、来年度予算はじめ今後の県政運営の中でしっかりと実現できるよう努めていく」と述べた。
協会が要望したのは「必要な公共事業予算と受注機会の確保」「資材価格の高騰などによる影響の緩和」「入札・契約制度の改善」「総合評価方式の改善・見直し」「担い手確保・育成対策」「公設の建設産業廃棄物等処分場の整備」の6項目。
協会側は、県当初予算の投資的経費は3年連続で減少し、全都道府県の最下位だと指摘。地元建設企業が安定した経営をするため工事量の大幅な増加と各地域の企業数に応じた発注量の確保を求めた。
資材価格の高騰や納期の遅れへの対応として、全ての資材の設計単価を毎月更新するなど実勢価格や施工実態を反映した予定価格や工期の設定で適切に転嫁するとともに、スライド条項適用手続きの迅速化、簡素化を行いインフレスライドが適用される工事については積極的に適用するのが重要だとした。
入札契約制度については、発注標準金額の見直し、ダンピング対策の強化、舗装工事業での現場代理人の兼務件数の緩和などを要請。
担い手確保・育成対策として、東讃地域の新統合学校での土木関連学科の存続と定員の確保、西讃地域の高校に土木科の新設を挙げた。週休2日制を全工事で早期に達成するために設計労務単価や一般管理費などの補正率の引き上げも訴えた。
森田会長は、「建設資材の高騰や納期の遅れ、時間外労働の上限規制への対応など難問山積だが、特に若年技術者の入職減は地元建設企業にとっては廃業にも追い込まれる企業もでてくるのではと危惧している。地元建設企業としての使命を果たすためにも企業の経営の安定化が必要であり、工事の絶対量の確保、平準化など強く要望する」と窮状を訴えた。
池田知事は「工業県として幹線道路、港などのインフラを着実にレベルアップしなければ経済が停滞してしまう。災害への対応、インフラの老朽化についても継続して推進する。技術者の問題については、外国人技術者の導入なども合わせながらすぐに取り組む必要がある」と方針を述べた。
提供:建通新聞社