千葉港湾事務所、県県土整備部、船橋市は27日、「千葉港海岸直轄海岸保全施設整備事業」に関する説明会を市役所11階大会議室で開催した。工事について、2023年3月の「日の出胸壁かさ上げ改良工事」を皮切りに順次着手する方針を示した。今後のスケジュールは▽22〜27年度=日の出胸壁▽23年〜28年度=日の出護岸▽26〜29年度=湊護岸・湊町胸壁▽24〜33年度=海老川水門・船橋排水機場――を見込んでいる。
安原晃・千葉港湾事務所長は「船橋地区は住宅、工場、公共施設が集積した市民生活に欠かせない地域であり、交通インフラやライフラインの観点からも非常に重要なエリア。1日も早く地域の皆さまの安全・安心を確保するため、県および船橋市と連携して事業を推進する」と決意を述べた。
千葉港海岸直轄海岸保全施設整備事業は、台風などに伴う高潮や、首都直下地震および同地震に伴う津波に備えるため、海岸保全施設のかさ上げおよび耐震対策などを行い、地域の安全・安心を確保するもの。総事業費は300億円。対象施設は、日の出護岸・湊護岸915m、日の出胸壁・湊町胸壁1255m、陸閘7基、海老川水門、船橋排水機場。
海岸保全施設の多くは建設から50年以上が経過し、鉄筋の露出や目地の開きなどの老朽化が進行。大規模地震に対する耐震性能を有しておらず、高潮や津波が発生し、施設が機能しなかった場合、市役所や消防署などの公共施設、臨海部工業地域、JR船橋駅などの浸水が想定される。沿岸地域にはゼロメートル地帯が広がっていることから、復旧までに相当の時間を要することが見込まれている。
整備に当たっては、十分な施工空間の確保、現行機能を維持しながらの整備に高度な技術が必要となるなど課題が多く、かつ莫大な費用を要する大規模工事となることから、国土交通省の直轄事業として3月25日に採択された。
説明会後の質疑応答では、波返し工の有無、ハザードマップ変更の有無、各地域のかさ上げ高さの違い、施工による騒音などについて、市民から質問が寄せられた。