23日に行われた新潟市長選で共産党県委員の鈴木映氏(35)に約9万6000票余りの大差で破り、見事再選を果たした中原八一氏。政令指定都市に移行して15年目の節目を迎え、活力ある拠点都市の実現に向けた意気込み、2期目の重点施策に掲げている行財政改革や子育て支援拡充などに向けた考え方について話を聞いた。
◆短期決戦 選挙期間中は「都市の活力向上」と「市民福祉の向上」などを公約に掲げ、多くの支持者から励ましや激励の言葉を受けた。「短期決戦で、ある意味難しい選挙戦だった」と振り返り、9月下旬まで対立候補が現れず、一時は選挙がないのかと思った時期もあったという。選挙戦を終えて「市民の皆様のご意見や考えを改めて聞くことができて大変良かった。これからの市政に反映できるよう精一杯努力していく」と気を引き締める。勝因については1期4年の市政運営が多くの有権者に評価されたことに加えて「前回の保守分裂による選挙から一転し、保守系の県議や市議の皆様をはじめ、幅広い支援を受けたこと」と分析した。
◆チャンス 1期目は国や県とのパイプを最大限に活用し、除雪費支援を訴え30億円の追加配分につなげた。また、官民連携により新潟駅南口で計画される中長距離バスターミナル「(仮称)新潟バスタ」のほか、万代島ルート線沼垂道路などの事業化決定にも尽力した。一方で「60年ぶりにリニューアルされる新潟駅をはじめ、駅周辺整備が着実に進んでいる。新潟にとっては大きなチャンス。この機会を逃さず、これからも活力ある拠点都市、そして市民の皆様が暮らして良かった、働いて良かったと思えるような新潟市を市民の皆様とともにつくり上げる」と意気込み、交流人口拡大へ決意を新たにした。さらに、西蒲区役所の建て替えを進めるとともに、南区役所の建て替えを検討するなど、避難所確保とあわせて災害時の拠点としての機能強化を図る構え。
◆継続 2期目の重点施策に掲げる行財政改革については、災害への備えと豊かな生活に投資できるように安定した財政基盤づくりを進めていく。1期目の集中改革により見直し効果額は58億円と新潟市の貯金は3倍に膨れ上がり、危機的な財政状況を回復した。「これからも行財政改革を継続して市民サービスの向上に努めたい」と述べた。そのほか、妊娠中や出産直後の人を対象とする医療費助成の所得制限撤廃など、公約の柱に掲げた子育て支援の拡充に関する費用を2023年度当初予算に盛り込む考え。
◆調和 政令指定都市に移行して15年目の節目を迎えた。都市部と大生産地である田園部が近接し、市民生活の中に溶け込んでいる政令市は全国の中でも新潟市だけと強調する。「暮らしやすさを全ての市民が実感して頂ける新潟市をつくっていきたい。8区が持つ歴史や伝統、文化、産業などの特色を活かしながら、8区がそれぞれのカラーを出して発展できるような政令市を実現させる」と先を見据える。その上で「都市と田園が調和する暮らしやすさを積極的にアピールし、食と農や子ども子育て支援など、できるだけ早く取り組んでいく」と決意をにじませた。
なかはら・やいち 1959年生まれ。63歳。新潟市西区出身。明治大学政治経済学部卒。県議会議員を4期15年、参議院議員を1期務め、2018年に新潟市長選に初当選を果たした。