建通新聞社(静岡)
2022/10/28
【静岡】台風15号被害「総力挙げて災害復旧」
静岡県建設業協会(石井源一会長)は、10月27日に開いた静岡県交通基盤部との意見交換会で、台風15号の復旧工事の本格化を見据え「協会としても、総力を挙げて復旧工事の執行に取り組む」(石井会長)との姿勢を示した。一方、盛土条例施行後の規制強化を巡っては、「残土処分場の容量が減少し、将来、(公共工事の)指定処分先がなくなる恐れもある」、「残土のリサイクルにブレーキがかかるのではないか」といった懸念も示した。
石井会長は、県内に甚大な被害をもたらした台風15号について「被害が大きかった中部・西部の地区協会を中心に、多くの会員企業が災害対応にあたってきた」と強調。太田博文交通基盤部長も「発災後、ただちに復旧に尽力してもらい、まさに『地域の守り手』として活躍してくれた」と、県建協の会員企業の活動に謝意を示した。
県が意見交換会に報告した県内の被害報告(10月4日時点)によると、交通基盤部所管のインフラは461カ所で被害が確認され、被害額は249億7200万円に上るという(政令市除く)。
盛土条例施行後の残土処分を巡っては、県建協が手続きの周知や規制緩和などを県に求めた。この中では、条例で許可の取得が求められている残土処分場の管理者が、土砂基準をクリアするために独自の判断で土壌分析調査を求め、残土の受け入れが制限されるケースがあるなどと指摘した。
これに対し、県は「持続可能な建設発生土の適正処理を実現する必要がある」との認識を示した他、2022年度中に建設発生土のマネジメントに関する基本方針をまとめ、23年度に残土を搬入するストックヤードの整備を検討するなどとした。太田部長は「現場の意見を聞くことが重要」として、基本方針に業界の意見を反映させる姿勢を示した。
「資材価格の高騰 スライドの受注者負担軽減要望」
一方、建設資材価格の高騰については、協会が行ったアンケート調査で、「採算の悪化」と回答した会員企業が65%に上ったと報告。スライド条項の円滑な運用、物価変動を踏まえた適切な設計変単価の設定、スライド条項の受注者負担の軽減などの措置を要望した。
同じアンケート調査では、4週8休を確保した企業が18%に過ぎず、「週休2日に遠く及ばない状況にある」とも強調。時間外労働の削減に向け、設計図書と現場条件の不一致の解消、工事書類の簡素化、電子契約の本格導入などを県に求めた。