トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

西日本建設新聞社
2022/10/21

【熊本】県、万江川検討委を発足 短期計画で砂防堰堤の配置示す

 万江川(山江村)大規模特定砂防事業(土砂・洪水氾濫防止対策)の計画策定に向けた検討委員会が発足した。熊本県は洪水時の土砂流出による河道閉塞の氾濫対策として、砂防堰堤と渓流保全工などの整備を都道府県で初めて実施する。17日の初会合で県は短期計画として、堰堤4基、渓流保全工1・5`を整備する施設配置計画案を示した。
 球磨川右支川の万江川は、令和2年7月豪雨により上流域から大量の土砂・流木が河道に流れ込み、下流の集落で土砂・洪水氾濫が発生した。現在も流域内に土砂等が堆積しており、再度の災害が発生する可能性があるため、本川と支川に砂防堰堤や渓流保全工などを整備する。対象となる流域範囲は屋形地区より上流の約66・5平方`。
 県は、万江川砂防を今年度に事業化。総事業費は約58億円を見込み、事業期間は約10年間としている。球磨川水系流域治水プロジェクトの一環として、砂防、河川、治山事業が連携して取り組むため、学識経験者に技術的な課題などの提言を求めていく。全体計画は今年度中に策定する考えで、業務をオリエンタルコンサルタンツに委託して進めている。
 初会合は、山江村役場で行われ、学識経験者や内山慶治村長、国土交通省、林野庁らが参加。委員長には熊本大学の椋木俊文教授が就いた。会合で県は全体概要や被害状況、砂防短期計画、委員会の検討事項を説明した。
 短期計画では、施設配置案として、透過型の堰堤4基(堤高11b、12b、14b、14・5b)と渓流保全工1・5`(約1000b、約500b)を提示した。対象規模は一般的な砂防計画と同様の100分の1年確率、計画雨量は488_/日に設定している。
 委員会への検討事項は、▽豪雨により河道内に堆積した土砂対策▽土砂・洪水氾濫対策▽河川・治山事業者との連携策の3項目。委員からは「気候変動も考慮するべき」「過去の掘削データが知りたい」「200分の1年確率規模は想定しないのか」などの意見があった。
 会合前に委員らは、球磨川合流点、屋形地区、宇那川合流点、上流荒廃状況を視察し、県の担当者から説明を受けた。 
 次回会合は、年明け1月を目途に実施し、方向性や対策の概定を行う。

提供:西日本建設新聞社
公式フェイスブックページ:「記者 建設探訪