建通新聞社(神奈川)
2022/10/21
【神奈川】県 8回目の線引き見直し素案
神奈川県は、横浜市・川崎市・相模原市を除く県内の都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分する「線引き見直し」を行う。2035年が目標年次となる今回は「環境と共生した安全性の高い県土の形成」と「自立と連携による活力と魅力あふれる県土の形成」を県土・都市づくりの方向性として、各施策を総合的、一体的に展開。「集約型都市構造の実現に向けた都市づくり」などを都市計画の目標とし、▽選択と集中による社会資本整備▽他の都市計画区域との広域調整▽関連部局と連携した横断的な検討による防災機能の強化▽既成市街地の再編▽都市機能の集約と交通ネットワークの充実―を図ることとする。
県の基本的な考え方や見直しの基準を示す「基本的基準」などを盛り込んだ素案をまとめ、公表した。11月15日まで意見を募集する。意見募集結果を踏まえた成案を23年1月ごろに公表する予定だ。
線引き見直しは、おおむね10年後の都市計画区域について「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」などを定め、無秩序な市街化を防止する。1970年以来定期的に行っており、素案をまとめた今回は8回目の見直しとなる。
基本的基準では、整開保などの基本方針(都市計画の目標、主要な都市計画の決定方針などの規定)と区域区分の基準(市街化区域への編入基準、市街化調整区域への編入基準などを規定)で構成する。
都市計画の目標は@集約型都市構造の実現に向けた都市づくりA災害からいのちと暮らしを守る都市づくりB地域の個性や魅力を生かした活力ある都市づくりC循環型、脱炭素型、自然共生型の都市づくりD広域的な視点を踏まえた都市づくり―とする。
本格化する少子高齢化・人口減少社会に備え、引き続き地域の実情に応じた集約型都市構造化に向けて取り組みを進める。災害リスクの評価・分析を行い、災害リスクを踏まえた都市づくりを目指すとともに、土地利用の面からも防災・減災に取り組む。
コロナを契機としたライフスタイルの多様化など、社会情勢の変化にも対応し、地域の個性・魅力を生かした活力ある都市づくり、自然的環境を適切に整備・保全し環境負荷の少ない自然と共生した持続可能で魅力ある都市づくりを目指す。
都市計画区域を超える広域的な課題などについては、県と市町が連携して、将来の都市像を共有しながら対応する。
市街化区域に編入できる区域は、計画的な市街化が図られる区域(集約型都市構造化に資する区域に限定)などとし、市街地整備に関する地域別の構想の他、立地適正化計画の策定を通じて居住・都市機能を誘導する区域を明らかにする。質の高い住環境の形成、防災性の向上、既成市街地の高度利用、中心市街地の活性化、良好な市街地環境の保全、低・未利用地の有効利用、都市機能の集約化、都市の脱炭素化など、計画的な市街地整備を促す。
また、営農が継続されることが確実な農地や傾斜地山林などの自然的環境が残された区域、将来的に都市的土地利用を行う見通しがない災害リスクの高い区域などは市街化調整区域に編入する。 提供:建通新聞社