建設新聞社
2022/10/19
【東北・岩手】3棟延べ約3.76万uが対象/県庁舎の耐震診断調査
岩手県は、県庁舎の耐震診断調査等業務を18日付で公告した。申請書の提出は今月24日17時まで、開札は11月7日13時30分に行う。
参加資格は▽2022・23年度建設関連業務競争入札参加資格者名簿の建築関係コンサルタント業務に登録され構造および調査一般を申請業務としている者で、東北6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)のいずれかに本店または営業所を有すること▽会社として1級建築士・2級建築士・JSCA建築構造士のいずれかの技術者が3人以上在籍(ただし1級建築士は2人以上在籍)▽07年4月1日以降に元請けとしてSRC造で4階建て以上かつ1棟当たりの延べ面積1万0000平方b以上の建築物における耐震診断調査業務の受注実績―など。
今回の業務は、盛岡市内丸10の1地内にある知事局棟(SRC造地下1地上12階(塔屋3階)建て、延べ3万1027・7平方b)、渡り廊下棟(RC造3階建て、延べ1133・26平方b)、議会棟(RC造3階建て、延べ5478・84平方b)を対象に実施。3棟で延べ3万7639・8平方b。いずれも1965年に建設した。
耐震性を保有しているか判断するため耐震診断を行い、耐震改修が必要な場合は耐震補強案を検討する。
知事局棟は「官庁施設の総合耐震診断・改修基準および同解説」の総合耐震診断(GIs)に加え、建築基準法に基づく時刻歴応答解析によるものとし、渡り廊下棟と議会棟は「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・改修設計指針・同解説」を参考に、耐震診断基準の第2次診断となる。
耐震診断の評価に基づいた補強計画の策定に当たっては、原則的に一般的な耐震補強での検討とするが、発注者と協議の上、必要に応じて他の工法についても、耐震性能、コスト、工期、執務への影響といった観点から比較検討する。
知事局棟の構造形式はX、Y方向とも耐震壁付きラーメン構造、妻側ブレースがSRC造ブレース組み込みで、基礎は直接基礎(べた基礎)となっている。委託期間は210日間。
県庁舎に関しては、97年度に実施した耐震診断では震度6弱から6強程度の地震では崩壊する危険性は低いとされたが、防災拠点としての基準は満たしていない。これらを踏まえ、現状の課題として▽防災拠点としての耐震基準を満たしていないため耐震化が急務▽設備の経年劣化が深刻で近々の総合的改修が必要▽建物や設備機器のエネルギー消費量が現行基準値より高く、維持管理経費がかさみ省エネ法の適用が必要―などを挙げる。
耐震診断により、耐震基準達成の可否、継続使用見込年数、耐震補強の程度、法不適合の適合可能性などを把握し、2023年度から1年以上かけて庁内で庁舎の在り方を検討する考え。ハード面のみならずD]化の推進や職員定数の見通し、中長期の財政見通しなどを踏まえながら将来にわたって持続可能な行政サービスが提供できるよう多角的に検討する。
県の試算では現地建て替え、移転新築、改修・増築のいずれの場合でも在り方の方針決定後、整備完了まで10年程度を要する見通し。
提供:建設新聞社