建通新聞社(神奈川)
2022/10/19
【神奈川】横浜市 中大口径管包括委託、2期目の検討
横浜市環境創造局が2021年度に発注した下水道中大口径管路の包括的維持管理業務は、市が期待していた内容が適切に実施されていることが分かった。市が実施状況の振り返りを行った。これを踏まえ、今後の維持管理の在り方を検討するため22年度中にヒアリング調査を実施。23年度に今期の包括業務が終了した後、27年度までの4年間で状態把握調査を行い、2期目の進め方を決める。調査の実施方法は未定。急速に老朽化が進む管路の再整備(改築)などさまざまな課題への取り組みも議論する。
口径800_以上の中大口径管の維持管理で市は、民間企業のノウハウやアイデアを採り入れる包括的維持管理の手法を導入した。
市内の中大口径管は総延長が約1900`。このうち20年後に敷設後50年以上になる約1500`を10年間で調査するため、価格による競争ではなく、技術力やアイデアによる提案を重視したプロポーザル方式で委託先を公募した。
業務は管路と接続人孔、接続取付管の▽詳細調査▽計画的な清掃と汚砂の運搬▽緊急清掃、緊急修繕工事―をパッケージ化し、市内を北と南の二つに分けて発注。北部(北部・港北・神奈川・都筑の4処理区)約1000`内の業務をヤマソウ・管清工業・ビッグバレイサービス・横浜市下水道管理協同組合・協同清美・日本土木設計JVが、南部(中部・南部・金沢・栄・西部の5処理区)約900`内を管清工業・ヤマソウ・ビッグバレイサービス・横浜市下水道管理協同組合・協同清美・日本土木設計JVが受託し、21〜23年度の3カ年で450`ずつ調査を行う。
両JVは構成員が同一であることから北部と南部を総合的に管理。現在は南北同一体制を取り、市内全域に均質レベルのサービスを提供している。
21年度の成果を見ると、調査延長は181`で、過去3年間の平均調査延長139`と比較して約3割アップ。その一方で異常箇所の発見は171カ所と、過去3年平均の209カ所より約2割減少した。これは包括JVが調査と修繕を同時に実施する体制を整えており、調査時点で「まだ修繕する段階ではない」と判断できた箇所を異常≠ゥら除外してカウントしたため。
21年度の異常171カ所のうち168カ所については発見後直ちに修繕を終え、市が直接対応したのは3カ所だけだった。過年度に調査会社が発見した異常箇所は全て市に報告がなされ、市が工事を発注するなどして対応したのと比較すると、調査から修繕までが最短一日で完了するなど飛躍的にスピードアップ。包括の導入により、市の業務効率化が大きく進んだ格好だ。
〜再整備を包括か〜
課題も見えた。
当初想定した業務量より実際の業務量が結果として少なくなった場合、受託企業の経営計画に影響を及ぼすことが考えられる。
今後、これまでの成果や得られた評価を総合的に分析し、第2期となる28年度以降の維持管理の進め方を検討する。包括パッケージに定期清掃や老朽化した管路の再整備(改築)、激甚化する豪雨への対応など市が抱える課題の解決策を含むことも考えられ、事業スキームを幅広く議論することになりそうだ。 提供:建通新聞社