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建通新聞社
2022/10/19

【大阪】近畿ブロック会議 調査基準引き上げ要望

 全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)の2022年度近畿ブロック会議として、近畿建設業団体協議会と国土交通省との意見交換会が10月17日に奈良市内で開かれ、各府県建設業協会からは入札・契約制度の改善や建設資材の価格高騰への対応などを求める意見が出た。その中で、協会側は低入札価格調査の基準価格(調査基準価格)および最低制限価格の上限の引き上げを要望。国交省側は、「諸経費動向調査の結果を基に、公共工事の実態把握に努めて対応していきたい」と述べるとともに、地方公共団体に対しても「最新の中央公契連モデルの採用を引き続き働き掛けていく」と述べた。
 まず、協会側は「国土強靱(きょうじん)化事業の促進と公共事業関係予算の確保」を強く求めた。国交省側は、「国土強靱化基本法施行(13年)から10年を迎える中で、「『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』後も、中長期的かつ明確な見通しの下で継続的に(事業を)進めることが重要」との認識を示すとともに、「財政措置を含め、防災・減災の加速化に全力を挙げて取り組みたい」と述べた。
 入札・契約制度について、協会側は4月1日から直轄工事の調査基準価格の計算式が改定され、一般管理費などの算入率が55%から68%に引き上げられたことに謝意を示す一方、調査基準価格の上限が92%で頭打ちとなっている現状から、結果的に「この引き上げの効果が一部の工事にとどまっている」と指摘。上限値92%からのさらなる引き上げを依頼した。併せて、建設資材の価格高騰に対して、受注者負担の割合の軽減を求めた。
 調査基準価格について国交省側は、これまで段階的に見直してきた経緯を説明した上で、引き続き実態把握に努めて対応していく考えを伝えた。
 加えて、地方公共団体に対しても「(最新の)中央公契連モデルをきちんと採用してもらうよう働き掛けるとともに、(歩切りが疑われる)極端なランダム係数などについては、しっかり(国として)個別に対応していきたい」と述べた。
 資材高騰対策については、「引き続きスライド条項などの適用を総務省とも連携して周知する」と述べるとともに、「民間発注者に対しては政府全体で取り組みを進めている。公正取引委員会や中小企業庁などによる独占禁止法で禁止されている『優越的地位の濫用』などに関する緊急調査も行われている。足並みをそろえ、モニタリング調査などを通じてしっかり対応したい」と伝えた。
 冒頭のあいさつで、近畿建設業団体協議会を代表し、幹事協会である奈良県建設業協会の山上雄平会長は、「自然災害の頻発化などを背景に、国土強靱化の重要性を改めて認識している」とし、継続した公共工事の実施を要望。さらに、「地域建設業者が地域の守り手として、国民の安全・安心の確保を確かなものにしていくためには経営基盤の強化・安定化が必要だ」と理解を求めた。
 国土交通省の笹川敬大臣官房審議官(不動産・建設経済)は、建設資材の価格高騰について「リスクを受発注者間でどのように分担していくべきか。価格高騰のしわ寄せが労務費に向かわないよう、賃金を下支えする仕組みがないだろうか、という問題意識を持っている。受発注者間の請負契約や、下請け構造のありように大きく関連するものであり、8月に有識者による検討会で議論を始めたところだ。業界全体でも議論できるよう、論点を整理しながら検討していきたい」と述べた。