今年度2回目の中国地方整備局事業評価監視委員会が14日開かれた。再評価対象とした5事業のうち、県内事業は3件を審議。いずれも事業継続の判断を妥当と意見集約した。
前回の再評価実施から5年が経過した▽大山山系直轄火山砂防事業(天神川)▽同(日野川)▽皆生海岸直轄海岸保全施設整備事業―の3件が対象となった。
火山活動の繰り返しで形成された大山は侵食に対して弱く、源頭部・山麓斜面とも降雨のたびに土砂移動が頻発。突発的な流出土砂による直接の土石流氾濫、下流域での河床上昇による土砂・洪水氾濫の発生を防ぐため、砂防事業の促進が求められている。天神川流域は1936年度、日野川流域は74年度から直轄砂防事業着手に着手しており、現在は2011年に定めた概ね30年間の中期計画が進行中。前者は事業費179億円で堰堤新設26基(6基完成)と改築1基、後者は事業費244億円で堰堤新設44基(5基完成)と改築4基(1基完成)などを目安に、整備の進捗を図っている。中期計画事業の費用便益比(B/C)は天神川3・2、日野川2・7を算出。関係機関や地域からの強い要望、砂防ソイルセメント工法の活用による整備コスト縮減などの現状を踏まえ、事業継続が妥当とした。
皆生海岸では旧建設省時代の1960年、全国初の直轄工事区域を指定し侵食対策工事に着手。総事業費272億円を投じる計画で離岸堤などの整備を進めてきた。事業期間は25年度までを見込み、現在の進捗率は約91%。残事業費は24億円で、皆生第1工区の施設改良、富益工区の人口リーフ改良、境港工区から富益工区へのサンドリサイクルが主要事業に挙がる。B/Cは事業全体で5・0、残事業1・9となり、背後地の資産を防護する必要性も加味して継続妥当とした。
日刊建設工業新聞