日本工業経済新聞社(群馬)
2022/10/17
【群馬】伊勢崎市の卸売市場、年度いっぱいで返却
伊勢崎市の卸売市場(日乃出町702)について、市と運営企業の伊勢崎地方卸売市場が協議した結果、2022年度末で閉場することとなった。同施設は1981年に開設した施設で、耐震性不足および老朽化への対応が課題となっている。対策を行うには多額の費用が生じることから、継続的な活用を断念。建物および土地は市へ返却する。施設の解体や跡地の活用方法は未定、これから庁内で検討する。
卸売市場は1981年に開設。当初は市が管理運営を担ってきたが、2004年に民営化した。市有財産無償賃貸契約により、運営企業である伊勢崎地方卸売市場へ無償貸付している状況。土地や建物は旧公設地方卸売市場として市が所有している。
市場は複数の棟で構成。事務所機能など市場の中心的な建物となる水産・青果中央棟はS造3階建て、延べ床面積1万5877・55uの規模。18年度に同棟の耐震診断を行いIs値不足がわかっている。このほか、中央棟と同時期に整備した◇倉庫棟839・88u◇水産冷蔵庫棟836・4u◇塵芥集積棟84u◇水産加工棟303・9u−が立地する。いずれも老朽化が著しく、無償賃貸契約の期限である22年6月30日を前に、市と市場は、今後の施設の在り方について検討を重ねてきた。施設を継続的に利用するためには、耐震性不足および老朽化への対応は必須となり、耐震補強や建て替えには多額の対策費用が見込まれる。
市場側は、対策費用への援助や、向こう10年間の継続利用を求めていた。両社で今後の在り方に関する協議を行った末、市への返却が決定した。
返却までの準備期間などを考慮し、当初の期限である6月30日を23年3月31日に延長する措置を取っている。返却を持って、現在地での市場の歴史に幕を閉じることになる。
返却後の活用方法については白紙の状況。市公共施設等総合管理計画の経済部所管施設個別計画では、貸付終了後に取り壊しを検討するとしている。各棟の老朽化等の状況を考慮すると解体することになりそう。これから庁内の担当部課で、建物の解体を含め、有効的な跡地活用の方法を探るとしている。市場は国道17号上武道路沿い、北関東自動車道伊勢崎インターから5q圏内と好立地。今後の活用方法に注目が集まる。