県建設業協会(井木敏晴会長)と県土整備部(蒲原潤一部長)の懇談が12日、鳥取市内であり、建設業の担い手確保や工事書類の簡素化などについて議論。県は建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用促進で来年1月以降、モデル工事を試行して総合評価に加点する考えを説明した。
CCUSを巡っては今年5月、「入契法適正化指針」が一部変更され、公共工事の発注者には工事成績の加点措置など必要な条件整備を講じることが盛り込まれた。
県が検討するモデル工事は予定価格4000万円以上の「土木一般」を対象とし、各発注機関1件以上を目安に試行。総合評価の加点条件は、元請けの事業者登録とともに、下請け1社以上の事業者登録を確約する誓約書を提出した場合「0・5点」を加点する。
協会側は「履行状況の確認をどうするのか」と質問。県は就業履歴の出力伝票「月別カレンダー」などを考えており、確認方法は実施要項に明記すると答えた。
担い手の確保では、協会が「工事書類の簡素化なくして、週休2日は困難」と訴え、効果的な取り組みと合わせて書類の簡素化を要請。県は7月に改正した「書類作成Q&A」によって作成範囲の明確化に努めているとし、週休2日は全工事を発注者指定型に改めるよう検討すると説明した。
大規模災害
復旧工事に随契も
また、災害復旧工事の円滑な着工に向けて県は、不落札が発生した際▼予定価格の事前公表▼公募区域の拡大▼積算の見直し▼合冊による格付け等級引き上げ、混合格付けによる公募―などの対応を説明。
これに対し協会は「(広範囲に及ぶ)大規模災害の場合は随意契約を検討すべき」と提案。加えて、総合評価の「受注額減点」も大きな問題と指摘した。県は「随契を他県の状況を見て検討してみたい」と回答。受注額減点は制度上、対象外とすることが可能なものの、それまでに復旧工事を受注した業者との「不公平感」を課題に挙げた。
懇談には協会役員と県土整備部の幹部ら約20人が出席。このほか議題では工事検査や優良工事の表彰規定、土木工事実施設計単価の改定基準などについて意見交換した。
日刊建設工業新聞