国土交通省四国地方整備局は、建設現場でできる脱炭素化の取り組みとして、低炭素型コンクリート二次製品活用モデル工事を実施する。「令和4年度重信川垣生地区堤防漏水対策外工事」(松山市西垣生)の排水構造物工(プレキャストU型側溝)と「令和4―5年度重信川南野田地区高水敷整備工事」(愛媛県東温市南野田)の護岸工(平ブロック張)を対象に、セメント置き換え率55%以上で設計基準強度(18N/mm2)の無筋プレキャストコンクリートを導入し、調達上の課題などを検証する。
インフラ整備で発生する二酸化炭素を抑えるために、一般的に使用されるポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末などの混和材に置き換えた低炭素型コンクリートで賄う。高炉スラグ微粉末は製鉄所の高炉で副次的に発生する高炉水砕スラグを微粉砕して製造される水硬性の混和材で、高炉セメント原料や生コンクリート混和材などとして使用されている。
現場打ちコンクリートで例えると、一般に流通している含有量40〜45%の高炉セメントB種を用いた場合、セメント1d当たりの二酸化炭素の排出量は約40%削減される。高炉スラグ微粉末置換率を55%まで高めることで、より二酸化炭素の排出量削減効果の増大が期待されている。
低炭素型コンクリートは一般に流通していない資材であり、施工数量によっても材料単価は上下するため、試行工事でコスト面の検証も行う。耐久性の面では、高炉スラグ微粉末の使用は、塩化物イオン浸透抵抗性の向上やアルカリシリカ反応の抑制にも効果的であり、コンクリート構造物の耐久性の向上や長寿命化につながるという。
同局は「建設分野のカーボンニュートラルに向けて、建設段階ではCO2削減につながる材料、建設機械、施工方法などについて総合的に取り組みを進めていく必要がある」と話すとともに、材料については「セメントなどの製造過程でのCO2排出量が大きいことから、低炭素材料の活用が求められており、セメント業界などのカーボンニュートラルに向けた取り組みを促進する」としている。
提供:建通新聞社