京都府は12日、府営水道ビジョン(第2次)の中間案に盛り込んだ大規模集約と小規模分散の施設統廃合の2案について、新・府営水道ビジョン検討部会に報告した。
府営水道ビジョンは、府営水道が取り組むべき諸課題の解決に向けた指針として平成24年度に策定。平成29年度に中間改定した。現行の計画期間が令和5年3月に終了することから、水道事業の基盤強化に向け、より充実した指針とするとともに、経営戦略を兼ねるものとして内容を充実する。
12月議会にビジョン(第2次)中間案を報告し、パブリックコメントを経て、令和5年2月議会に最終案を報告する予定。第2次の計画期間は令和5年度から令和14年度の10年間。
府営水道と受水市町全体での適正な施設規模の検討にあたり、コストとリスクのバランスを考慮した施設統廃合案を作成し、その効果について財政シミュレーションを実施した。
統廃合対象浄水場については、以下の手順(@廃止予定年の設定(各浄水場の資産データ(市町提供資料)から、資産価値が検討期間内(平成30年〜令和39年)の40年間で最低となる年を「廃止予定年」として設定)A廃止検討順位の設定(廃止予定年で浄水場を廃止した場合の更新費用削減額から、浄水場を廃止した場合に必要となる費用(連絡管設置費用や受水点の設置費用等)を控除し、施設能力あたりの費用削減効果を算定。削減効果の高いものから順位を設定)B施設廃止時の水需要充足確認(廃止検討順位の高い浄水場から、廃止予定年で廃止した場合の水需要充足を確認し、継続/廃止を判断)C予備力25%に達するまで、Aで設定した順にBの水需要充足確認を実施)で選定した。
施設統廃合案に関する留意点として「施設統廃合案は、あくまでも費用削減効果を検証するため、府が一定の前提条件を仮定して選定したものであり、実際にこれら施設の統廃合計画があるわけではない」「統廃合対象施設及び想定年度は、浄水場の老朽化具合や施設更新時における水量確保の観点から設定」「検討の基礎となる各種数値は、各市町の整備計画、経営戦略等は反映しておらず、事業者が作成している計画等とは同一ではない」を挙げた。
施設統廃合案@(大規模集約)は、大規模集約を念頭に府営水道の施設を維持し、市町の施設を削減する内容で、浄水場を21施設から9施設に統廃合する(統廃合対象は宇治市の西小倉浄水場、城陽市の第1浄水場、第2浄水場、第3浄水場、久御山町の佐古浄水場、木津川市の宮ノ裏浄水場、精華町の北稲浄水場、旭第1・第2浄水場、柘榴浄水場、向日市の物集女西浄水場、長岡京市の東第2浄水場、大山崎町の夏目浄水場)。
施設統廃合案A(小規模分散)は、小規模分散を念頭に府営水道の施設を削減し、市町の施設を維持する内容で、浄水場を21施設から13施設に統廃合する(統廃合対象は京都府の宇治浄水場(廃止は1系列)、乙訓浄水場、宇治市の西小倉浄水場、城陽市の第1浄水場、久御山町の佐古浄水場、木津川市の宮ノ裏浄水場、精華町の北稲浄水場、旭第1・第2浄水場、柘榴浄水場)。
施設統廃合による費用の削減効果を推計。40年間の収益的支出は、現状施設維持で6811億円かかるが、施設統廃合案@(大規模集約)で6682億円(129億円削減)、施設統廃合案A(小規模分散)で6740億円(71億円削減)を見込む。
40年間平均の給水原価は施設統廃合案@(大規模集約)で5・6円、施設統廃合案A(小規模分散)で3・1円が削減できる見込み。