近畿地方整備局と滋賀県建設業協会(奥田克実会長)は3日、大津市のびわ湖大津プリンスホテルにおいて意見交換会を開催。協会側は、直轄事業の早期完了および新規事業の実施や中央公契連モデルの見直しなどを要望した。当日は、局側から奥田晃久企画部長ら幹部10名、協会側から奥田会長と副会長ら16名、また滋賀県、水資源機構からもオブザーバーとして5名が参加。
冒頭、近畿地整の奥田企画部長は「地域の守り手として地元建設企業の重要性はこれまで以上のものがある。そのためにも人材確保は大きな課題。週休2日制や建設キャリアアップシステム、インフラDXの活用など、働き方改革を推進してまいりましょう」と挨拶。
続いて、県建設業協会の奥田会長は「地域の守り手としての責務を果たすためにも安定的な事業量の確保が必要。多くの若者が活躍できる地域建設業となるべくご支援を」と述べた。
議事では、同局が滋賀県内の出先事務所の事業概要と災害時建設業事業継続力認定制度を説明後、意見交換に移った。意見交換では、@直轄事業の早期完了および新規事業の実施A国土強靭化事業の継続的・安定的な推進B中央公契連モデルの見直しC設計・積算に関する事項D入札契約に関する事項E施工段階に関する事項―以上6つのテーマについて議論。
意見交換の主な内容は次の通り。
◎直轄事業の早期完了および新規事業の実施
協会側は、直轄工事予算配分をさらに拡大し、現行事業の早期完了と新規事業の早期事業化を要望。特に国道1号、8号、307号の早期整備、国道161号の早期供用開始、国道1号バイパスの早期事業化(大津・京都間)、大戸川ダム工事の早期着手、河川事業の早期整備(瀬田川、野洲川)を求めた。これに対して局側は7年度までに事業化している道路のうち7事業が開通見通しであること、また大戸川ダムは早期着手に向け調査が進んでいること、国道1号(大津・京都間)についてはルート決定に向けて動いているとした。
◎国土強靭化事業の継続的・安定的な推進
近年の頻発化、激甚化する自然災害への対応は十分ではなく、令和7年度までの「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」完了後においても、引き続き継続的・安定的な防災・減災、国土強靭化に取り組めるよう、予算を確保し、中長期的な計画のもとでの事業推進を要望。局側は、予算要求に対しては順調に予算が執行されていることが最も重要―とした。
◎中央公契連モデルの見直し
「適正利潤が確保でき、働き方改革等の対応を図り、建設業の責務を果すためにも、低入札価格調査基準価格の設定範囲である予定価格の75〜92%のさらなる引き上げを」と要望。局側は、本省に意見に届けるとした。
◎設計・積算に関する事項
協会側は▽現地に整合した発注図書の作成▽工期を踏まえた費用の算定▽河川工事等における共通仮設費▽橋脚工事―以上4点について局側の考え方を確認。局側は。工事工程の受発注者間情報共有により多くの課題が少なからず解決できるのでは―とした。
◎入札契約に関する事項
協会側は▽参入機会促進型の発注▽不可抗力による損害及びスライド条項適用に伴う受注者負担廃止▽入札公告日から申請書提出締切日までの期間延長▽橋梁補修工事に係る県内企業の優先発注▽「社会条件に配慮した工事」の評価―以上について局側の考え方を質問。局側は出された意見のうち▽参入機会促進型の発注については、「いろいろな意見がある。バランスを踏まえてタイプを選定していく」とし、▽入札公告日から申請書提出締切日までの期間延長については「可能な限り余裕を持って回答していく」とした。▽橋梁補修工事に係る県内企業の優先発注については「試行を行っており、その結果を見て対応」と回答。
◎施工段階に関する事項
協会側は、「工事の一時中止は発注者の専権事項であることを理解いただき、即時の対応を」としたことについては「適切に運用できるよう継続的に事務所を指導していく。コミュニケーションを高めていくことも重要」とした。
提供:滋賀産業新聞