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北陸工業新聞社
2022/10/04

【福井】福井県立/一乗谷朝倉氏遺跡博物館がオープン/子どもや観光客、研究者の交流の場/戦国時代のタイムカプセル開封/特別史跡にむけゲートウエイ機能

 福井県の一乗谷朝倉氏遺跡博物館が1日開館した。記念式典(約160人が参加)で、杉本達治知事が挨拶。博物館機能の高さとともに「特別史跡の一乗谷朝倉氏遺跡に向かうゲートウエイ(玄関口)の役割も大きい」と強調。さらに、1年半後の新幹線開業に向け、JRなど交通のアクセス性を向上させて「恐竜博物館だけじゃない。一乗谷には朝倉氏の遺跡博物館もある」と、知名度の向上へ、ソフトな仕掛けなど夢を熱く語った。
 続いて、小野正敏特別館長と、大森哲男県議会議長、東村新一福井市長、名誉お屋形さまの春風亭昇太師匠(ビデオメッセージ)らが来賓祝辞。開館を祝し、華やかなアトラクションも披露され、テープカットした。

出土品のつぶやきを聞く

 小野特別館長は挨拶中、あまたの中世遺跡と比べ、一乗谷においては「発掘調査を50年超も続け、とても素晴らしい」と、全国を視野に客観評価。関係者に深く敬意を表した。
 その上で、「博物館の主役は、貴重な出土品(500年前の宝物)たちだ。しかし彼らは、自分からは何も語りはしない。(来場者が)しっかり見て、耳を傾けてほしい。そうすると、つぶやきが聞こえてくるはず」と、楽しみ方を伝授。現代人の、後世に引き継ぐ役割であるとも示した。
 「このタイムカプセルのような安波賀の地が、子どもや観光客、研究者たちの交流の場として、ますます発展していくように」と、心から願った。

山並みに調和施工力たたえ

 設計を担当した、建築家の内藤廣氏(内藤廣建築設計事務所)本人も式に参列した。式後、取材に応じた。
 当初構想の「幻の館」が目の前に建ち、感慨深げ。外観が「山並みに調和し、とてもいい」と、設計者冥利に尽きるよう。4年前に完成した福井県年縞博物館(若狭町鳥浜)も氏が設計を手掛け、「コンクリートは日本一」と絶賛するなど、地元施工者の技術力の高さを称えている。
 今回の博物館の建設も等しく、「とても丁寧な仕上がり。木を多用し、福井の林業県らしさが出ている」などと満足そうに話した。

hokuriku