日本工業経済新聞社(群馬)
2022/10/03
【群馬】24年問題でアンケート 時間外労働7割対応 4週8休実施厳しい状況
群馬県建設業協会(青柳剛会長)は9月30日、働き方改革実現に関するアンケート結果を報告した。2024年4月から建設業にも適用する労働時間の上限規制、いわゆる「2024年問題」について調査したもの。4週8休の実施は厳しい状況である一方、時間外労働の月45時間、年間360時間以内については、すでに7割程度の企業が対応を進めている。青柳会長は「業界の構造的な問題を見直す絶好の機会」とコメントした。(アンケート結果を3面に掲載)
アンケート結果を受け青柳会長は「中小建設業にとって乗り越えなければならないハードルは沢山ある」とし、ダイヤグラムを作成。これを踏まえ「『コストと工期、そして生産性の向上』の3点を回すことによって働き方改革が達成できる」と考えを示した。続けて「適正工期や歩掛などの積算基準、建設業の労働時間の在り方など、建設業の構造的な問題を見直す絶好の機会。国や県に向けて意見交換会などの場でしっかりと発言していく」と訴えた。
報告によると、現時点での週休2日の取り組みについては、「4週6休(隔週土曜日定休)を行っている」が114社と最も多く、全体の46%を占めた。次に多かったのが、事務系職員のみ4週8休(土、日曜日定休)としているが技術系職員は工事現場の状況による」の50社となる。また、「4週8休(土、日曜日定休)を行っている」との回答は45社あった。
これを受け「4週8休以外の企業に対する今後の週休2日の取り組みについて」の問いでは、「24年4月までに取り組む予定」と答えた企業は19社、9・6%に留まった。多くの業者は工事現場の条件が整えば取り組む、もしくは公共土木の週休2日制工事などにおける取り組みで実現する考えを示している。
職員の労働時間を1日8時間および1週40時間とし、時間外労働を月45時間、年間360時間以内とする時間外労働規制について、24年4月までに達成できるかとの問いでは、「達成できている」と「達成できそう」の回答を合わせて72%となった。ただし、「達成できそうにない」と答えた企業が28%もあり、早期の対策が課題となっている。
また、時間外労働規制について一番難しいと考えられる工事として、最も多い42社が民間建築と回答。公共土木工事を生業とする会員企業が多い中、全体の44・2%という割合となった。
「民間工事での時間外労働規制達成を目指すために」との問いには、「注文者に説明して適正な工期の確保を理解してもらう」と回答した企業が46・7%と最も多かった。一方で、「公共工事が先行して時間外労働短縮の取り組みを進めることで社会の流れを作る」と答えた企業が34・4%と次に多いことから、公共工事での積極的な取り組みが民間工事へ波及することを期待している状況もある。
公共工事における時間外労働規制達成のためには、「工事書類の簡素化が必要」と61社が最も多く回答。次いで「適正な工期確保」と「必要な人件費確保」がそれぞれ57社の回答となった。
このほか個別の意見では、時間外労働を短縮するために「業界全体で取り組んでもらいたい」「土日が休めるような適正な工期の設定」「適正な工期・経費・人件費の確保及び人材の確保」などが寄せらている。人件費を確保するためには、「設計労務単価の引き上げ」「現場管理費の引き上げ」という従前の意見に加えて、「歩掛の根本的な見直し」が必要という見方もある。
アンケートは、24年4月1日から建設業においても時間外労働の上限規制が適用されることから、会員企業の働き方の現状と課題を把握するため実施。建設業協会本部会員の全270社を対象に調査を行った。回答者数は243社で回答率90%となる。調査期間は9月20日から26日まで。