高知県の自治体のうち、低入札調査基準価格の「中央公契連モデル」を導入していないのが12町村あることが建通新聞社の調査で分かった。また低入札調査基準価格制度を多くの自治体が導入しておらず、国の通知から半年が経過したものの、県内の地方自治体に浸透していないことが浮き彫りになった。
小規模な自治体で中央公契連モデルを導入していないケースが目立つ。中土佐町が「県に準じた対応を予定」、仁淀川町が「今後検討していく」など、導入に向けた動きを見せる自治体がある一方で、奈半利町、大豊町、大川村が「低入札価格の応札がなく導入の必要性がない」と回答するなど、ダンピングが行われていないため不要と判断している自治体もある。
中央公契連モデルは、国土交通省が低入札価格調査基準の計算式を改定したことを受け、3月に改正された。従業員の給与などの一般管理費等の算入率を従来の55%から68%に引き上げており、国は工事のダンピング対策として最新モデルの採用を要請している。
低入札調査基準価格については、業務では全市町村で未導入。工事も多くの自治体が導入していない。導入している自治体も県が請負対象金額1億円以上、高知市が予定価格1億5000万円以上など大規模な案件に限定している。
最低制限価格制度については、工事では「全て」から「一定の金額以上」まで差があるものの、全自治体で導入している。一方、業務では須崎市や土佐清水市など12市町村で導入していない。須崎市や越知町など導入を検討している自治体もあるが、「必要性を感じない」として見送っている自治体もある。
2022年度の契約方式変更では、県が週休2日制モデル工事について、5000万円以上の工事を発注者指定型に変更したことや、総合評価落札方式の評価基準に女性技術者の配置と災害復旧工事の受注状況を追加した。高知市は週休2日制モデル工事と入札時積算数量書活用方式を試行導入した。この他の市町村では、香南市で積算疑義申し立て対象工事の拡大、津野町で一般競争入札と余裕期間設定工事の導入、三原村で余裕期間の延長、芸西村で一部書類の押印を不要とするなどの措置を講じた。また四万十町では「第1四半期の発注増を行い平準化に努めた」と回答した。
本紙では、全自治体に対し契約方式、プロポ―ザルの適用額、総合評価落札方式の導入の有無や対象工事・業務についても調査を行った。なお馬路村は全項目で回答を拒否した。
提供:建通新聞社