北海道建設新聞社
2022/09/30
【北海道】ワイナリーで活性化 弟子屈町が屈斜路地区で23年5月着工
弟子屈町は、ワインのまちづくりを本格化させる。ワイナリーを新築し、町内でブドウ栽培から醸造までできる環境を整える。屈斜路湖を望むテラスを併設し、風光明媚(めいび)な景色とワインを楽しめる拠点づくりを進める。観光で誘客を図るとともに、営農者や醸造家が移住・定住する産業振興、地域振興を目指す。
町は2014年から町内産のブドウを原料にワイン生産を開始。町産ブドウを100%使った赤ワイン「葡萄色の旦(えびいろのよあけ)」などを生み出した。しかし、町内に醸造施設がなく、池田町に醸造を委託しているため、弟子屈町産としてブランド化できなかった。このため、ワイン醸造所を新築し、新たな町の特産品として町産ワインを確立させる。
町は4月、広域のワイン特区に認定された。ワイン醸造に当たり、通常は地元生産で年間最低6000gの醸造利用が見込めなければ製造免許が取得できないが、ワイン特区に認定されることで、醸造基準が年間2000Lまで緩和され、小規模の醸造施設でも免許取得が可能となった。
建設予定地は屈斜路地区の屈斜路プリンスホテルから国道243号を挟んで南側の屈斜路湖を一望できる農地約6000m²で、11月上旬に取得する予定だ。
規模はW造、平屋、延べ288m²。生産するワインは、赤ワイン、ロゼと両種のスパークリングワインを予定し、年間生産量は約6000―1万Lを計画する。ワイン販売ショップやテイスティングスペースなども設ける。
基本構想はRMS経営が担当し、実施設計は五十嵐淳建築設計が進めている。23年5月の着工を予定。工事の発注は主体・機械・電気の3分割の指名競争となる見込み。23年度の完成を目指す。外構は町が設計し、工事を発注する。
弟子屈町は、川湯温泉をはじめ、透明度全国1位を誇る摩周湖、日本最大のカルデラ湖でオオハクチョウの越冬地として有名な屈斜路湖など観光地として知られる。しかしレジャーが多様化する中、知名度が下がり、産業の中核が衰退してきた。
町内では冷涼で寒暖差のある気候と温泉熱を生かし、民間企業がイチゴやマンゴーの栽培に乗り出すなど地元資源活用した農産物に加え、酪農の町として摩周和牛やチーズなど特産品を組み合わせて、地元ブランドの向上を図ろうとしている。