建通新聞社(東京)
2022/09/30
【東京】都 鐘ケ淵駅付近、鉄道立体化の可能性調査
東京都は東武伊勢崎線・鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化について可能性調査を始める。9月28日の都議会本会議で三宅正彦氏(都議会自民党)と加藤雅之氏(都議会公明党)の代表質問に中島高志都技監が答弁し、鉄道立体化の可能性を検討する「事業候補区間」に位置付けたことを明らかにした。今後、地形や周辺状況などの調査を実施するとともに、地元の墨田区や鉄道事業者との協議を進める。
鐘ケ淵駅(墨田区墨田5丁目)の駅前には伊勢崎線第17号踏切を中心とした6差路の交差点がある。同踏切はピーク時の遮断時間が41分に及ぶ「開かずの踏切」で、歩行者と自転車、自動車が滞留・交錯している状況だ。
都は踏切対策基本方針(2004年度策定)で、伊勢崎線第17号踏切を25年度までに重点的に対策を実施・検討すべき「重点踏切」に指定。また、同踏切と交差する補助第120号線(鐘ケ淵通り)の拡幅工事を進めており、用地取得が順調に進めば23年度までに完了する見通しだ。
一方、墨田区は鐘ケ淵周辺地区のまちづくり計画(16年度)の中で、鐘ケ淵通りの拡幅が進めば、これまで以上に人と車の交錯や交通渋滞の発生が懸念されると指摘。鉄道立体化によって開かずの踏切を解消するとともに、駅前広場を整備して交通結節点の強化を図るとの方針を掲げた。地域住民から選ばれた委員と都区の行政職員で構成する「鐘ケ淵地区まちづくり懇談会」も定期的に開催している。
20年には山本亨区長と小池百合子知事が意見交換。山本区長が鐘ケ淵駅周辺を連続立体交差化の事業候補区間に早期に加えるよう要望したのに対し、小池知事は「区によるまちづくりの検討が促進されるように、積極的に支援をしていく」と答えていた。
都議会本会議で答弁に立った中島都技監は、鉄道立体化について「地域のまちづくりと合わせて進めていく必要がある」との認識を示しつつ、事業候補区間に位置付けて可能性調査に乗り出す考えを表明。地域の課題解決に向け、地元区や鉄道事業者と連携しながら「積極的に取り組んでいく」と述べた。提供:建通新聞社