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建通新聞社(静岡)
2022/09/28

【静岡】建設発生土の再利用 官民の検討体制構築を

 静岡県建設業協会(石井源一会長)は、盛土条例施行後の残土処分や建設発生土の再利用についての提案・要望をまとめ、県議会・自民改革会議に提出した。この中では、汚染リスクを恐れた残土処分場(中間処分場)が受け入れに慎重になり、会員企業の残土処分が制限されていることを問題視。県が条例の理解不足を解消するとともに、建設発生土の再利用や処分場の容量の確保といった中長期的な対策を講じるため、官民が連携して検討する体制整備も求めた。
 盛土条例には、盛土の崩壊を防止する構造基準に加え、汚染された土砂の搬入を防止する土砂基準が設けられている。条例で盛土とみなされ、許可の取得が必要な残土処分場にも土砂基準への適合が求められる。
 条例施行後、この基準を満たしていない土砂の受け入れを懸念し、土砂を搬入する建設業者に条例上の地歴調査だけでなく、本来は必要のない土壌分析調査を求める残土処分場が増えている。
 土砂の受け入れを制限するこうした動きを踏まえ、県建協に所属する静岡建設業協会がプロジェクトチームを立ち上げるなど、会員企業の間にも不安が広がっている。
 県建協では、許可取得時に土壌の汚染がないことを証明した処分場に対し、条例で許可取得後の盛土に求めている年2回の土壌・水質調査を免除し、不安やリスクを軽減する必要性を指摘。
 一方、県発注の公共工事では、発注者が地歴調査資料を作成し、土壌分析調査の費用も発注者が負担するとしている。発注者は処分場の受け入れ条件を確認し、受注者に対して処分地も指定する。県建協はこれらの徹底に加え、契約後に土砂の改良費が生じたり、処分場の変更が必要な場合、設計変更で発注者が費用を負担するよう求めた。
 さらに民間建築工事でも、土壌証明の費用を発注者が負担する仕組みづくりを求めるなど、民間建設投資の停滞を回避する制度改正を提案した。
 一方、条例施行後に顕在化した県内の処分場の容量不足、建設発生土の再利用の促進といった課題を官民で話し合う体制整備も提案。建設発生土の工事間利用に必要なストックヤードの確保など、中長期の対策を考える場を設けるよう求めた。
 県建協では、所属する地区協会でも現在の残土処分に関する課題を改めて整理し、10月下旬に開く県交通基盤部との意見交換で改善策を提案する方針だ。

23年5月に盛土法施行「条例見直しを検討」

 盛土条例施行後の残土処分については、開会中の静岡県議会でも焦点の一つになる。26日に行われた自民改革会議の代表質問に対し、森貴志副知事は「熱海市伊豆山の土石流災害を2度と繰り返さないためのもの」と条例の趣旨を改めて説明する一方、「工夫できる方策を探る」と改善に前向きな姿勢も示した。
 また、23年5月に施行される盛土規制法との整合を図るため、「盛土条例の見直しを検討する」とも発言。法施行により、許可・審査の業務量が増加することに備え、県の組織体制を整える考えも示した。