建通新聞社(神奈川)
2022/09/27
【神奈川】川崎市 建築物再エネ設備導入義務化へ検討
川崎市は、延べ2000平方b以上の建築物を新築・増築する建築主や、年間に一定程度の規模の建築物を供給する特定建築事業者に対し、再生可能エネルギー設備の導入を義務化するなど「(仮称)建築物再生可能エネルギー総合促進事業」の新設を目指している。学識経験者らで構成する川崎市環境審議会脱炭素化部会で新たな再エネ義務制度の素案、制度の創設に向けた川崎市地球温暖化対策推進条例の改正について市への答申案の検討を進めている。順調にいけば本年度末ごろに条例を改正し、2024年4月から段階的に制度を施行する予定だ。
これまでの検討では、「建築物再生可能エネルギー総合促進事業」として再エネ義務化に関する四つの制度を盛り込むことが考えられている。
「(仮称)特定建築物再生可能エネルギー利用設備導入計画書制度」は、新築・増築する延べ2000平方b以上の建築物を対象に、建築主に対して太陽光発電などの再生可能エネルギー利用設備の導入と設置導入計画書の提出を義務化する。太陽光発電設備の他、太陽熱利用設備、バイオマス利用設備、風力・地熱発電設備も対象としている。
「(仮称)特定建築事業者太陽光利用設備導入報告書制度」では、延べ2000平方b未満の建物を市内で一定以上新築するハウスメーカーなどの住宅供給事業者を対象に、太陽光発電設備の設置導入報告書の提出を義務化する。国の目標である新築一戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を導入できるよう、年間の総供給延べ床面積を設定する。
「(仮称)建築士再生可能エネルギー利用設備説明書制度」は、延べ10平方b以上の新築・増築建築物を設計する建築士が建築主に対し、再生可能エネルギー利用設備の設置について書面を交付して説明することを義務とする。
「(仮称)建築物再生可能エネルギー誘導支援制度」は、既存の補助制度や設立に向けた取り組みが進む「川崎地域エネルギー会社」などを活用し、さまざまな再エネ総合支援の枠組みを創設する。
この他、温室効果ガスの削減に向けた取り組みを加速するため、現行の「事業活動地球温暖化対策計画書・報告書制度」を見直し、「(仮称)事業活動脱炭素化取り組み計画書・報告書制度」を設立する。国や支援機関などと連携し、新たな評価・支援制度を導入する。
市が3月に策定した「川崎市地球温暖化対策推進基本計画」では、温室効果ガスの削減再生可能エネルギーの導入に向けて五つのプロジェクトを設定している。このうち、プロジェクト2で計画書・報告書制度の見直し、プロジェクト3で再生可能エネルギー設備の設置に向けた義務制度の導入を位置付けている。 提供:建通新聞社