国土交通省四国地方整備局は、二酸化炭素を固定化しカーボンニュートラルに貢献するコンクリートを使った埋設型枠の試行現場を初めて公開した。
現場は、高知河川国道事務所が発注し、鹿島が施工している「日下川新規放水路管理道整備工事」(高知県日高村沖名)。放水路トンネルにつながる作業坑を管理用道路として整備するためにコンクリートを充塡(じゅうてん)しており、そのうち両面の側壁に延長12b、高さ3・6bの二酸化炭素を固定化したコンクリートを使った埋設型枠を採用した。型枠1枚当たりの標準サイズは118a×58aで116枚のパネルを使用し、80平方bの範囲で施工した。
施工した箇所は放水路トンネルとの合流点にある水門の手前で、水圧を受けて水門が開かないようコンクリートを厚くして抵抗力を強くする。従来の木製型枠と比較すると、環境にやさしいだけでなく、型枠を外す工程がないため作業時間の大幅な短縮にもつながるという。
鹿島は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業」の一つである「二酸化炭素を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」で、デンカ、竹中工務店とともに、1月に事業実施者として採択を受けた。二酸化炭素の排出削減・固定量最大化コンクリートの開発や品質管理・固定量評価手法に関する技術開発を進め、新たに開発した「カーボンネガティブコンクリート」の性能について実証を行っている。今回試行している埋設型枠工事については、10月中旬に施工を完了した後、検証結果を公表する。
鹿島の小野かよこ氏は、使用するほど二酸化炭素を減らすことができるコンクリートについて「脱炭素ではなく“活炭素”への取り組みを進めたい」と意欲を見せていた。
提供:建通新聞社